教育

自ら学び考える力を育てるためにも「学びの自由化改革」が必要です

投稿日:2020年4月28日 更新日:

この度のコロナの影響がさまざまな形で現れていますが、だから私も、今こそ教員の働き方も含めて教育制度の見直しをするチャンスだと思います。
チャンスにしなければなりません。
一斉授業をオンライン配信する競争をやっているときではないと、私も思います。
私はこの度の休校によって、学校教育の負の面がさらに表面化したように思います。
学校再開後の方が休校前よりも息苦しくなっています。
勉強は好き、勉強はしたいけど、学校教育制度に合わない子は多いです。
授業時間数の確保を、入試をどうする、学力はどうなる・・・
大人は必死になってあれやこれや「やらせようやらせよう」としています。
しかし、子どもたちが望んでいるのはそこでしょうか?
一日中決められたカリキュラムでやらされることが増え、制限ガチガチの中で過ごすなんで無理でしょ。
マスクをしなくても、それだけで窒息死してしまう。
さらに、楽しみにしている夏休みまで奪われる。
今回もまた、「子ども無視」の対応ばかりが行われています。
いつまで過干渉を続けるつもりなのでしょうか。
いかに親や学校が子どもの考える力を奪っているか休校騒ぎで明らかになった
子どもには自分で決める自由も考える余地すらない。それで主体的に学ぶ力なんか育つはずはない

新学習指導要領のめざす姿

現行の指導要領のキーワードは「生きる力を育む」でした。
でも実際はどうでしょうか?子どもたちに「生きる力」は育っているでしょうか?
教員たちは生き生きと授業に臨んでいるでしょうか?
「子どもの学ぶ権利を保証するという」というのが本来の義務教育の目的ですが、これまでの画一的で均一の学校教育スタイルによって、教育の機会から外され、学びの保障を受けてこられなかった子どもたちがいます。
この4月から小学校でスタートした新学習指導要領の柱は「考える力を育てる」ことです。「受け身ではなく、主体的に学べる楽しさを学ぶ」ことをめざしています。
新指導要領には3つのキーワードでまとめられます。

1.育成を目ざす資質・能力の明確化
2.「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進 (アクティブ・ラーニング)
3.カリキュラム・マネジメントの推進

各学校で教育課程(カリキュラム)の編成をして、教育の質を高めることです。
その中でも重要となるのが「主体的で深い学びを実現する」ことです。
文科省 平成29・30年改訂 学習指導要領、解説等
ここにはこれまでの授業スタイルやテスト重視とは、全く違う姿があります。これが本当に実現すれば生き生きとした学びが教室に生まれそうな気がします。
期待ができる、と私もそう思っていました。しかし、今学校ではアクティブ・ラーニング)の実現に向けて進んでいるでしょうか?
そのために、今まさに各学校ではカリキュラム・マネジメント、教育課程を作っているところです。(今はコロナの影響でそれは放置されているのが現実の学校現場ですが)
しかし、私が知っている限り、その中身は教員がカリキュラムを作り、課題を与える。児童生徒はそれに従って課題をこなすという従来型です。
教員も文科省から与えられた作業をこなすという受動的な形にしかなっていないのが現状だと思います。

子どもが主体的に活動する学ぶ楽しさを感じる学び方へ

これまで教員も「学び方」を学んできませんでした。「学び方」を学ぶために、それを児童生徒に伝えるためには、教員自らもよく考え、主体的に学ぶ必要があります。
今のような学校というシステムの中で、自己肯定感の低い教員が自己肯定感の高い子どもを教育できるとは思えません。
それを教える術も持っていませんので、その研鑽を積んでいく必要があります。教職員対象の研修会もそのような学び方にシフトしていく必要があります。
学び方を変えなければ「学校をおもしろくする」ことはできません。教える内容を変えるのではなく、変えるのは学び方、自ら学ぶ方法を身につけることです。
私立の学校の中には革新的で生徒が主体の学習をやっているところもあります。カリキュラム・マネジメントがきちんと作られ、それが機能しています。
新しいカリキュラムでの学校創りも始まっているところもあります。
なので、やろうと決めたらできると思いますが、公立校の多くは既存の一律的一斉の授業スタイルから抜けていません。カリキュラムにも魅力がないし機能していないのです。
だから学校はおもしろくないのだと思います。
これと相関している調査結果に「日本の子どもの自己肯定感の低さ」があります。

教員自らが働き方を変える意欲すら失っている

と書いていますが、現場は授業改善の時間を雑務をこなす時間に奪われています。このように考える暇さえ今の学校現場にはないのだと思います。
私は現在フリーで塾をやっていますので、このように調べたり聞いたり考えたりする時間があるので言えるのですが、現場の先生方は上からの指図をひたすらこなすだけでもギリギリやっていると思います。
それに「NO!」と言えずに働かされている、日本の学校という職場がいかにブラック組織であるかが分かります。
年間5000人の教員が心の病で休職 その裏に改革できない“働き方”
私が早期退職した理由のひとつが自分の命と健康を守るため
これは働くシステムとしてすでに機能崩壊しているといえます。すでに限界を超えた中で働いているのですから、教員自らが働き方を変える意欲すら失っているのかもしれません。
これまでも「教員の働き方改革」が口先だけで論じられてきましたが、今こそ学校のスリム化を図り、社会全体で子どもを育てる環境を構築すべきですが、それを学校内部で変えていくのは不可能に近いと思います。私は、このままでは、うわべだけ、形だけの教育改革になってしまう可能性が大きいのではないかと考えています。

学びの形は確実に変化していく

ただ、私は、近い未来の学びの形は確実に変化していくと考えています。すでに変わり始めています。
それは、学びの個性化が進むみ、結果として学校間格差は今以上に拡がっていくと考えています。文科省や教育委員会は学校間格差を必死で止めようとしていますが、それにも関わらず今後どんどん拡がっていくと予想しています。公立と私立の格差、個性的で魅力のある学校とその他の学校との差はもっと顕著になっていくと考えています。
それをしないために、また新たにオンライン学習を国が開発するという動きも始まっていますが、どうなるか分かりません。
その結果、子どもたちはそれを選ぶ選択肢が増えて、自分の学びたいことを学びたいところで学ぶようになると考えています。すでに現在、自分で学びの場を選んで学んでいる子どもたちがいます。だから、学校を一斉一律な形に改革するのではなく、学びの自由化を促進して、多様な学びの場を増やしていくのがいいと考えています。文科省も「多様な学びの場の重要性」をいっています。
「学びの自由化」という改革といってもいいかもしれません。子どもたち自身が多様な場の中から自分に合ったところを選ぶ形になるのがいいと思います。
実は、その動きは何年も前から始まっています。これからその幅、バリエーションが広がっていき、魅力のある学校が選ばれる時代になっていくのではないかと考えています。「学校へ行かないで家で学ぶ」というホームエデュケーションという学びの形もバラエティー豊かです。
うちの塾には「不登校」の子も来ていますが、彼らはそれを自分で選択し、自分の学び方で進んでいます。この子たちは、「なぜ」「どうして」「知りたい」「できるようになりたい」という意識をもってやってきています。
なので、今後は学校という存在価値、学校の意義も変わっていくと考えています。
その選択権は子どもたちがもっているのですから。
そういう意味でも、この度のコロナのような外圧が発生したことは、教育改革に向けてプラスに考えたらいいと、私は考えています。この機を生かすも殺すも、一人ひとりの教員などの行動と連帯にかかっていると思います。これからいかに子どもたちのニーズに対応した学びの場が提供できるかにかかっていると思います。
そのためには、受け身の教員ではない、自己主張できる、教育への意欲と覚悟のある人材を育てていくことが不可欠です。
教育システムの改革ももちろん必要です。ですが、それを作るのも機能させるのも「人」です。人材です。だから同時に、「教育はなんのためにあるのか?」「教育はどこに向かってやるべきなのか?」など教員一人ひとりの意識改革も必要です。
あくまでも、ただの元小学校教員、私個人の私見です。
このようなことについて考え、実践に向けて、子どもの学びを考える勉強会も行っていますので、関心のある方はお知らせいただけると喜んで企画します。
コロナ休校はまたとない教育改革、教員の働き方改革のチャンス
日本の教育制度…暗記型から「思考型」への転換はできるのか?

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