教育

不登校の児童生徒が自宅学習で指導要録上の「出席扱い」になるための条件とメリット

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文科省は平成17年7月6日に「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について」とう通知を各都道府県教育委員会教育長宛に出しています。
そしてこのほど、「不登校児童生徒が自宅において IT 等を活用した学習活動を行った場合の積極的な対応について」という事務連絡が出されました。

平成 17 年 7 月 6 日付け 17 文科初第 437 号「不登校児童生徒が自宅において IT 等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」において、適切に対応されるようお願いしておりますが、平成28 年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」における「自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数(国公私立合計)」の集計を見ると、指導要録上出席扱いの措置がとられている児童生徒数は小学校で 16 人、中学校で 142 人にとどまっております。
不登校児童生徒の中には、家庭にひきこもりがちであるため、十分な支援が受けられていなかったり、不登校であることによる学習の遅れなどが、中学校卒業後の進路選択の妨げになっていたりする場合があることから、学校や教育委員会が保護者と十分連携・協力しつつ、児童生徒の自宅における学習活動への意欲を引き出し、その結果を学校として適切に評価することをもって、児童生徒の社会的自立に向けた支援を一層推進していくことが重要であると考えます。

指導要録上の出席扱いに係る積極的な対応の留意点
1 IT等を活用した学習活動とは例えばどのようなものがありますか。
○ 「IT等を活用した学習活動」には、インターネットのほか、郵送や電子メール、FAXなどを活用して提供されるものも含まれ、例えば次のような例があります。
・民間業者が提供するIT教材を活用した学習
・パソコンで個別学習できるシステムを活用した学習
・教育支援センター作成のIT教材を活用した学習
・学校のプリントや通信教育を活用した学習
・ICT 機器を活用し、在籍校の授業を自宅に配信して行う学習(同時双方向型授業配信やオンデマンド型授業配信)

2 在籍校の校長が、出席扱いについて有効・適切であると判断する場合の基準がありますか。
○ 一人一人の児童生徒の状況や学校、地域の実態が違うため、文部科学省から一律の基準を示すことはしていません。しかし、児童生徒の努力を学校として評価し、将来的な社会的自立に向けた進路選択を支援するという趣旨から、学校や教育委員会において一定の基準を作成しておくことは必要であると考えます。
また、既に基準を作成している場合でも、それが古いものであれば、今の時代の状況にあったものになるよう見直すことも検討すべきです。

3 当該生徒が指導要録上の出席扱いになることにより、具体的にどんなメリットがありますか。
○ 不登校であることによる学習の遅れなどが、学校への復帰や卒業後の進路選択の妨げになっている場合もあることから、このような児童生徒に対し、学習等に対する意欲やその成果を認め、適切に評価することは、自己肯定感を高め、学校への復帰や社会的自立を支援することにつながります。

平成17年に文科省からの「通知」が出されてから13年になりますが、現状としてはほとんど取り組みがされていない、ほとんど出席扱いとして認められていなません。

高校入試での内申点のよる不利益の解決にもつながる

不登校の児童生徒が指導要録上の出席扱いになることにより、具体的にどんなメリットがあるかというと、不登校であることによる学習の遅れなどが、学校への復帰や卒業後の進路選択の妨げになっている場合もあることから、このような児童生徒に対し、学習等に対する意欲やその成果を認め、適切に評価することは、自己肯定感を高め、学校への復帰や社会的自立を支援することにつながります。
また、不登校の児童生徒は「心の不安感」だけでなく「制度上の不利益」を被っていますにも書きましたが、日本の教育制度では15才の3月になれば、学校に行っても行かなくても、学習内容を身につけていてもいなくても、すべての子どもが「中学校卒業」となります。
しかし、中学校の履修過程を「修了」「卒業」しても、高校受験の際は、いくら本人に高校入学の学力があっても入学が認められないケースが多い。というか、現実としてはほぼ合格できません。
それは、中学校の出席日数や学校で受けた定期試験の点数などによって決まる「内申点」のウエートが高いためです。
高校受験で、中学校へ行っていなかった子は学校へ行っていた子よりも入学試験の点数がよかったとしても、内申点が加算されないために不合格となってしまう。
このように中学校での「出席日数」が高校入試の際に大きな影響があります。
そこで、指導要録上出席扱いの措置がとられることによって内申点の評価がされるようになり、「内申点」+「入学試験」によって志望する高校への合格することができる子も増えることが考えられます。

自宅学習を「出席扱い」にするための条件はかなりハードルが高い

文部科学省が定めている出席扱いになるための6つの条件
1.保護者と学校との間に十分な連携・協力関係があること
2.ITや郵送、FAXなどの通信方法を活用した学習活動であること
3.訪問等による対面の指導が適切に行われること
4.学習の理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること
5.校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握していること
6.学校外の公的機関や民間施設等で相談・指導を受けられない場合に行う学習活動であること

現実としては自宅学習を「出席扱い」にするための条件はかなりハードルが高いです。
実際にはインターネット塾や家庭教師ではだめなようです。
「不登校児童生徒の状況に応じたきめ細かい指導体制が整備されているとともに、個別の支援計画(学習プログラム)等、相談・指導の計画やその方法が明示されている」など、一応教委としても「出席扱い」等に関する目安は出しています。
一般家庭でこのような体制で学習ができるかどうかというとかなり厳しいといえます。
これがなかなか出席扱いにならない理由です。
ですが、最終的に出席扱いにするかどうかは、子どもが在籍している校長に委ねられますので、校長の考え方次第なのです。
しかし、このような動きが県議会で取り上げられることは今後の実現に向けては大きいと思います。
不登校児童生徒の「出席扱い」等についてのチェックリスト
(鳥取県教育委員会事務局 いじめ・不登校総合対策センター)
鳥取県フリースクール連携推進事業補助金交付要綱

自宅学習、ホームスクールも含めた多様な学びの場を

不登校の児童生徒は小学校で3万5032人、中学校で10万8999人います。
このたび、11月県議会を前に2人の鳥取県議が不登校児童・生徒を対象に、ICT機器を活用した遠隔授業を実施することを知事および教育長に要望を行いました。
このような現状を変えていくためには、今後さらに積極的に不登校児童生徒が自宅で IT 等を活用した学習活動を進めていき、指導要録上の出席扱いの措置をとっていく必要があります。
「不登校児童生徒が自宅において IT 等を活用した学習活動を行った場合の積極的な対応について」(平成30年10月1日)

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