鳥取県教育委員会は、「ICT等を活用した自宅学習支援事業」を進めています。オンラインで自宅学習することで、学校に通学して授業を受けなくても在籍校への「出席扱い」になるというものです。
昨年9月から学習教材「すらら」を利用して「不登校児童生徒」を対象にして始められましたが、この度の臨時休校によって、その対象が小学校1年生から高校3年生まで広げられました。
ただし、利用できるのは4月7日(火)までで、4月8日(水)以降は、配布したIDは使用できなるとのことです。
鳥取県での学校休業中の自宅学習等のeラーニング教材「すらら」について
4月4日時点での情報では4月7日(火)まででしたが、5月6日(水)までとなっています。
鳥取県内の学校は明日から再開されますが、引き続き無料ですららを利用することができます。
(4月7日にホームページを確認)
さらに、5月31日(日)まで期間が延長されました。(5月11日にホームページを確認)
自宅学習などで活用できる教材や動画等を紹介する学習教材が多くの民間事業者において無料提供されています。「休校中も学べる」ネット無料教材が続々登場して有償アプリ等の無償化が行われています。
鳥取県でも、臨時休業中の学習支援の一環として、ICTを活用した学習支援を県立学校や市町村教育委員会が行っています。この他にも自治体や学校でさまざまなeラーニング教材(オンライン学習)を利用していますが、休校期間中での対応となっています。
鳥取県での臨時休業中のICTを活用した学習事例
鳥取県ではいよいよ今週から新学期が始まり学校が再開されます。
学校は再開されても学校に行くのが不安な子どもたちはいます。
今回の臨時休業中にどのくらいの児童生徒がICTを活用した学習教材を利用したのかわかりませんし、今後の対応について、新年度以降のことははどうなるのかわかりませんが、「義務教育は、これを無償とする。」と憲法に定められているように、子どもから学ぶ機会を奪わないためにも、このような機会と場を続けていってほしいと思います。
コロナ休校を契機として、またとない教育改革、教員の働き方改革のチャンスにしてほしいと思います。
小・中・高等学校への「すらら」ID無償提供を5月31日まで期間延長
すららは休校継続あるいは再度休校する学校が多く発生していることから、5月6日(水)まで新たに30校に対してIDを無償提供することにしました。ただし、ID無償提供で利用できるのはの休校延長となった学校のみだということです。
さらに、学校での導入検討期間(5月31日まで)については、「すらら」・「すららドリル」の体験IDを無償で提供することにしています。
新型コロナウイルスの感染拡大防止のための臨時休校要請に対し、当社は在宅学習用に「すらら」のIDを全国の国公私立 小・中・高校に3月2日~5月6日まで無償提供して参りました。
在宅学習におけるICTの利用が進んでいることもあり、アクセス集中、サーバ維持費の増加等の影響も大きく、5月6日で、通常の無償提供については、終了をする判断をいたしました。
また検討にあたり「もう少し体験を行いたい」ということもあることから、6月以降も在宅学習用に「すらら」・「すららドリル」の有料導入を検討する学校様に対しては、検討用として、検討期間(5月31日まで)については、「すらら」・「すららドリル」の体験IDを無償で提供することといたしました。
今後、順次「すらら」が県下小中学校に導入
株式会社すららネットは、導入を要望する鳥取県内の市町村教育委員会と契約を行い、今後、順次「すらら」が県下小中学校に導入されることとなりました。
今回の取組は、「すらら」活用による不登校児童生徒の自宅学習支援や、新型コロナウイルス感染症拡大による一斉臨時休業時に県下小中高校生全員へ「すらら」無償IDを配布したことにより、「すらら」による学習効果を実感した鳥取県教育委員会及び市町村教育委員会が、さらなる臨時休業への対応及びICT活用教育の推進のため実施するものです。
今後、要望のある県下の市町村教育委員会とすららネットが個別に契約を締結の上、各市町村内小中学校にて「すらら」の活用を開始するということです。
オンライン授業を標準授業時数の一部として認める
不登校の児童生徒は「心の不安感」だけでなく「制度上の不利益」を被っていますにも書きましたが、不登校の子どもにとって最もネックになっていること、重要なことが「出席日数」です。これがいわゆる高校受験の際の内申点に影響するため、フリースクールなどの民間施設に行くことで「出席扱い」になるかどうかが大きなポイントとなります。
現実として、不登校の子は高校入試の際に大きな差をつけられています。
そこで、ICTを活用した自宅学習支援が広がることで、学習面での不安も進学の際の不安も減ります。
萩生田光一文科相は4月3日、文科省で閣議後会見を行い、「できることはやっていくということを、各自治体と一緒に模索してみたい」と述べ、「オンライン授業を標準授業時数の一部として認める措置を含めて検討していく」という考えを表明しました。さらに、政府の未来投資会議では、「デジタル技術を活用したオーダーメイド型教育」について議論し、学校現場で「1人1台端末」の前倒し実現を図る考えを明らかにしています。
4月2日に内閣府で開催された第1回新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォースでは、「ICT環境の早急な整備」「遠隔授業における受信側の教師設置基準の見直し」「遠隔授業における『同時双方向』要件の撤廃」「遠隔従業における単位取得数の制限緩和」「オンラインカリキュラムの整備」「オンラインでの学びに対する著作権要件の整理」の必要性についても確認されました。
萩生田大臣は、こう述べています。
「文部科学省としても新型コロナウイルスの感染拡大という緊急時であっても子どもたちの学びの機会を保障することは極めて重要であり、そのためにICTなどを活用することは有効な手段と認識している。」
「ICTを活用した家庭での学習支援などに向けた環境整備を急ぎつつ、国内外の休業時の対応の先進事例を研究し、現在の状況を踏まえ、遠隔教育の柔軟な運用を含め家庭での学習支援などによる教育機会確保のための検討を加速化していきたい。」
4月3日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年4月3日)
「もう学校は頼りにならない」
文部科学省のホームページには、休校期間中のICT教育の先進事例だけが並ぶが、公立校の多くは「オンライン授業の環境がなく、ただ休校」となっているのが現実だ。新型コロナウイルスのパンデミックは、日本のICT教育の著しい遅れと、危機的な状況に、子どもの教育が放置される現実を浮き彫りにしている。
数少ない子どもたちの居場所だった学童も、4月7日の緊急事態宣言下の都府県では閉鎖および、医療従事者や物流など特定業種の家庭の利用に制限する自治体が相次ぎ、子どもたちの教育の機会や社会とのつながりは、かつてないレベルで激減している。
都内の小学1年生の子どもをもつ、母親は言う。
「タブレットの全員配布がなくても、学校のホームページに動画をアップする、メルマガを配信するなど、今からでもできることはあるのでは」
これで変わらなければ、この先も変われない。学校とは教科書を持って教室に集まり一斉に授業するもの……というこれまでの「当たり前」を脱却する、最後のチャンスが来ている。
いつまで続く「昭和な」授業、コロナ休校で露呈する学校現場の遅れ
今回の取り組みが、「GIGAスクール構想」でも謳われている学習の個別最適化された学びの実現、いつでもどこでも学習できる学習基盤につながっていくといいなと思います。そして、自宅学習への支援と同時に学校でのICTの活用、eラーニング教材の取り組みが進んでいくことを期待しています。
オンライン授業、標準授業時数に認める措置を検討 文科相(教育新聞)
第1回 新型コロナウイルス感染症対策に関する特命タスクフォース 議事次第
日本経済再生本部 未来投資会議資料