今だから読みたい本
現代人は為政者やメディアによって支配され、自主的に判断・行動する主体性を喪失し、極論から極論へと根無し草のように浮遊し続ける集団と化していく。
番組も分かりやすくて今の世界の状況と照らし合わせて考えるととても面白いです。
そして、今私たちに大切なことは何か気づくことができます。
「ル・ボンによれば、「群衆心理」は、為政者や新聞・雑誌等のメディアによってたやすく扇動されてしまうという。彼らは、しばしば、精緻な論理などを打ち捨て、「断言」「反復」「感染」という手法を使って、群衆たちに「紋切り型のイメージ」「粗雑な陰謀論」「敵-味方の単純図式」を流布していく。」
「彼は、当時席捲していた暗記中心の「詰め込み教育」が、何事も鵜呑みにしてしまう人間を育てるとして異を唱え、判断力・経験・創意・気概を育てる職業教育を拡大せよと説く。」
インターネットやSNSの隆盛で、常に他者の動向に注意を払わずにはいられない私たち。その影響で、現代人は自主的に判断・行動する主体性を喪失し、極論から極論へと根無し草のように浮遊し続ける集団と化すことが多くなりました。今から一世紀以上も前に、そうした集団を「群衆」と呼び、彼らの心理を鋭い洞察をもって分析した一冊の本があります。「群衆心理」。フランスの心理学者ギュスターヴ・ル・ボン(1841 – 1931)が著した、社会心理学の嚆矢となる名著です。
ル・ボンはまた、こうした群衆心理が為政者や新聞・雑誌等のメディアによってたやすく扇動されてしまうことにも警告を発します。政治家やメディアは、しばしば、精緻な論理などを打ち捨て、「断言」「反復」「感染」という手法を使って、群衆たちに「紋切り型のイメージ」「粗雑な陰謀論」「敵-味方の単純図式」を流布していきます。極度に単純化されたイメージに暗示を受けた群衆は、あるいは暴徒と化し、あるいは無実の民を断頭台へと送り込むところまで暴走を始めます。こうなると、もはや事実の検証や論理では止めることができなくなると、ル・ボンは慨嘆するのです。