子どもが学校へ行かなくなったとき、親の一番の心配は高校進学だと思います。
中学校に行っていないのに、高校はどうするのか?さらにその先の進路はどうなるのか?
と、親は不安になるのも当然ですよね。
多くの方から聞くことが、
「中学校に行っていなくても高校に行けますか?」
その答えは
「はい、行けますよ。」
高校受験のチャンスは誰にもあります!
中学校に行っていなくても高校受験に合格できるのか?にも書きましたが、中学校に行っていなくても、公立私立すべての高校で受験することはできます。
ただし、鳥取県の公立高校は出席日数や定期テストの点数、学校での生活の様子を評価した「内申点」のウエートの占める割合が高いため、受験の時点で大きなハンデがあります。
中学校に行っていなくて、定期テストも受けていない場合は「内申点」はつけられないために、高校入試の点数のみで勝負しなければなりません。
そのために、入試でいくら高得点を取ったとしても内申点との合計で合否が決められるために、残念ながら合格する可能性は低いです。
なので、公立高校に行きたいと思っているのであれば、出席日数の確保と定期テストを受けておくことが必要になります。
最近では、フリースクールによっては在籍校の出席日数にカウントされ、そこで定期テストを受けて評価を受けることもできるようになっています。これについては直接フリースクールに問い合わせてみるのがいいです。
教育委員会よりも親切な対応なので、雰囲気や他の子どもさんの様子も分かりますので、一度相談に行ってみるといいです。
もちろん、行くか行かないかは本人の意思であり、親が決めることではありません。
しかし、中には、いわゆる内申点は考慮せず、純粋に入学選抜テストの点数だけで、合否を決めている高校もあります。
内申点と入試の点数の割合については、高校で差がありますので、詳しいことは、直接学校で聞くか、中学校の進路指導担当教員に聞くといいです。
中学校で内申点をどのように決めているかも聞いておくといいでしょう。
鳥取県にどのようなの高等学校・専修学校、フリースクールがあるのかは、こちらにも一覧で掲載しています。
令和3年1月10日(日)に行われる第3回 子どもの学びと不登校を考える鳥取県民のつどいでは、義務教育期間で受けられる支援、フリースクール、塾等、義務教育修了後全国どこもからでも学べる通信制高校等についての説明会を行います。今回は全国どこからでもオンラインで視聴することができます。
詳しいことを知りたい方は、こちらのご案内をご覧ください。
高校って、中学校よりも厳しいのではないの?
さらに、親御さんの心配があります。
「中学校に行っていなかったのに、高校生活は続くんですか?入学後は大丈夫なんですか?」
これは、行ってみないと分かりません。
「続く子もいます。続かない子もいます。」
ですが、入学が決まった時点で高校の校長や担任にこれまでのことや子どもさんの様子などを詳しく伝え、高校で配慮をお願いしておくことはできます。
生徒や家庭からの相談を親身になって聴いてもらえる高校もありますので、テストの点だけで高校を選ぶのではなく、入学後のサポート体制がどうかも考慮するといいです。
ただやはり、中学校では教室に入れなかったので、大勢の生徒のいる教室には入りにくいという子もいます。
どうしても集団が苦手という子もいますが、中学校と高校の環境の違いによってスムーズに高校へ通っている子もいます。
しかし、どうしてもという場合には、通信制高校というのがあります。
通信制高校とは、「通信による教育を行う課程」の設置してある高校のことです。
通信制高校に限らず、高校を卒業するためには、「学校教育法」で「3年以上の在籍期間を満たしている必要がある」と定められています。
通信制課程では、課題の添削(レポート)、面接指導(スクーリング)、試験(テスト)などを通じて単位を取得していきます。
もちろん、通信制高校卒業の際にも高校卒業資格が得られます。
大学受験をすることもできます。
通信制課程は、全日制課程のように毎日のように教室で勉強する必要はないので、教室には入りにくいという子にとっては比較的精神的な負担が少ないといえます。
鳥取の高校で通信制課程のあるのは、私立高等学校は8校、県立高等学校は2校あります。
●私立高等学校
鳥取敬愛高等学校
鳥取城北高等学校
青翔開智高等学校
倉吉北高等学校
湯梨浜学園高等学校
米子北高等学校
米子北斗高等学校
米子松蔭高等学校
●県立高等学校
鳥取緑風高等学校
米子白鳳高等学校
また、県内の高校に限定しなくても、いろいろなスタイルの高校もあるので、そこから選ぶことだってできます。
最も大事なのことは本人がどうしたいか
「中学校に行っていなくても高校に行けますか?」に戻ります。
つまり、高校に入る方法はいくらでもあるわけです。
全日制課程だけでなく、定時性も通信制課程の高校だってあるわけで、そのどこへ行くかは本人が決められます。
高校卒業資格を取るにはいくらでも方法はあります。
通信にもいろいろな形があります。
また、高等学校卒業程度認定試験を受けて合格したら、大学受験の資格が得られます。
ただし、合格者は高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません。
認定試験を受けて大学を卒業したら、最終学歴は大学卒業となります。
平成29年度高等学校卒業程度認定試験日程
高等学校卒業程度認定試験 Q&A
高等学校卒業程度認定試験問題 過去実施問題
大分県の「星の会」(不登校を考える親の会)の代表の加嶋文哉さんが「中学校卒業後の道」を分かりやすくまとめておられます。
鳥取県でもこのような案内があるといいです。
中学校卒業後の道(PDF)
でも、ただ行けばいいってもんではなく、大事なのは、「本人がどうしたいか」なのです。
高校卒業資格を取る必要を感じたらとればいいです。
本人がやりたいことなら、自分でやり始めます。
親のできることは本人の自己決定を待つこと、そのときに全力で応援することです。
応援とは、「がんばれ!」ということでなく、金銭的な援助(これを社会投資といいます)や環境調整です。
子どもが自己決定できるようになるためには、情報収集とできるだけ多くの人たちとつながりを作ることです。
そうするなかで、子どもは「自分がどうしたいか」という自己表現をするようになります。
結局、「本人がどうしたいのか」
そのための方法はいくらでもある、ということです。
今の日本は15歳の3月になれば、学校へ行く行かないに関わらず、自動的に卒業資格が得られます。
その後何歳になっても高校受験はできます。
別に中卒後すぐに高校に入らなくてもいいわけで、行きたくなってから受験することだってできます。
また、高校卒業資格がなくても様々な働き方をしている人たちもいます。
親は「本人がどうしたいか」をしっかり受け止めて、いろいろな情報を集め、たくさんのつながりを作っていくことです。
不登校のまま中学を卒業した後はどうする?中2の娘と考えてみた
中学校の進路相談では、すべての高等学校・専修学校を紹介してほしい
学校へ行っていないと将来はどうなるの?
さらに、さらに、親にはこんな不安もあると思います。
「学校に行かないで、将来働くことができますか?」
もちろん、働くことができます。
学校というのは、どこもだいたい同じです。特に公立の学校の場合は似たりよったりです。
しかし、仕事には多種多様な業種があり、働き方だっていろいろなスタイルがあります。
学校はどこに行ったってほとんど同じですが、仕事はいろいろあって選択肢は多いです。
その中から、ゆっくりやりたい仕事を見つけていけばいいんです。
学校を卒業してすぐに働くこともできるし、しばらく旅でもしながらゆっくり決めていったっていいんです。
日本人の多くは、どこかに所属していないと不安なのだと思いますが、一度しかない人生で一生雇われて働くことが全てではありません。どこかの会社に就職することだけが働くことではありません。
ある統計によると、好きなこと、自分がやりたくて仕方がないことを仕事にしている人は、20%しかいないそうです。
やりたくもない仕事を何十年も我慢しながらやっている人の方が圧倒的に多いのですが、しかし、一度きりの人生ですから、自分がワクワクするようなことをして生きていきたいと思いませんか?
みんな好きなこと、ワクワクすることをして楽しく生きたほうがいいでしょにも書きましたが、自分らしく働いて生きるための一番の方法は「ワクワク生きている人と付き合う」ことです。
学校という狭い世界だけで一生やっていく仕事を見つけるのでは、ごくごく限られた職種しか分かりません。
そこで、できるだけ多くの人たちと付き合っていくことです。
そこから新しい出会いや仕事を見つけることだって可能です。
「こんなこと、無理!」
そう思いましたか?
自分の可能性を低くするか高くするかは自分の考え方次第、自分の行動にかかっています。
あとは、それをやってみるかどうかです。
もちろん、「みんなと同じように」就活をして、どこかの会社に就職するという選択肢もあります。
そのどれを選ぼうと、大事なことは「自分の意思決定」です。
自分らしく、自分に合った仕事が見つかるまで、いろいろな仕事をしてもいいです。
ひとつの会社で一生働くことがいいとは限りません。
誰にも「自分が必要とされる場所」は必ずあります。
また、どこかに就職するだけでなく、起業して自営業をすることだってできます。
これこそ、本当に自由な働き方です。
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こうやって見ていくと、進学にしても働き方にしても、いろいろな方法があることが分かると思います。
子どものころはこうなりたいと思っていても、大人になってから考え方が変わる場合だってあります。
周りの人からは、「あなたがこんな人になるなんて思っていなかった」と言われて、スゴイ仕事をしている人もたくさんいます。
自分の可能性を自分で諦めるようなことだけはしたくないですね。
「それでも今が心配、明日が不安」だという方、こちらに「子どもが不登校になったら 親ができる最善の方法」について書いています。
それでも不安のある方は、個別相談もお受けしています。
鳥取県には各地に親の会があって、そこではこんな話もして進路の情報も共有しています。
不登校の子どものお母さん方に一番おすすめなのは親の会です。
鳥取県内の不登校やひきこもりの親の会はこちらです。
第3回 子どもの学びと不登校を考える鳥取県民のつどい開催
鳥取県不登校の親の会ネットワーク主催で令和3年1月10日(日)に第3回 子どもの学びと不登校を考える鳥取県民のつどいを行います。「鳥取県不登校の親の会ネットワーク」は、鳥取県内の不登校・ひきこもりの当事者とその保護者および理解者で組織するネットワークです。
「こんなにたくさんの選択肢があるんだ!」
「義務教育期間で受けられる支援や学校以外の学びの場について」
「義務教育後の学びについて」
会場では感染症対策をして、どこからでも視聴できるようにオンラインでも同時開催いたします。
参加費用は入場も視聴も無料です。
県内外の方、どなたでも参加できますが、感染対策の為、会場は入場を制限する場合があります。
第3回 子どもの学びと不登校を考える鳥取県民のつどいについて詳しい案内や申し込み方法はこちらをご覧ください。