4月15日から熊本市の全小中学校で、オンライン授業始まりました。
熊本市、ものすごいスピードで教育業界に「前例」を作り始めています。
新型コロナウイルス対策として臨時休校となっている熊本市立の小中学校で、タブレット端末を使った遠隔授業が行われている。10日は同市中央区帯山1丁目の市立帯山西小学校(平野修校長)で5年生の「外国語活動」が公開された。端末の画面越しながら級友の顔を久しぶりに見た子どもたちからはうれしそうな声が上がっていた。
iPadの導入と活用に向けた環境整備や教員向けの研修などは、熊本市教育センターが行っている。同センターの教育情報室 指導主事、山本英史氏に話を聞いた。
「2018年度より熊本市立の全小中学校へ、iPadや電子黒板などの整備を開始しました。現在までに100校1万6500台が運用されており、2020年4月から、小中学校すべてに2万3460台を導入し、2020年の新学習指導要領に対応します。3クラスに1クラス分の学習者用コンピュータと、教員用1人1台を導入します」
「もともと、タブレットは持っておらず、iPadも大歓迎というわけではありませんでした。2018年9月に市から提供され、最初は写真を撮ってみては?と使い始めました。ただ、これを取り入れた授業の勝手がわからないし、iPadを使った授業のアイデアの提案すべてが面倒に感じられました」
「先生だからといって、自分ができるようにならないと教えられないわけではないと思います。子どもたちのほうが習得が早いので、一緒に学んでいく、あるいは教えてもらうぐらいでいいのではないでしょうか」
臨時休校、「iPad」活用の先行事例に何を学ぶか
公立校で初めて導入、成績が上がった熊本市
研修会には、各校の教員が2人ずつ参加。端末を介して学校と家庭をつなぐテレビ会議システムの機能を確認した後、健康観察や「好きな歴史上の人物をリポートにまとめる」といった課題の出し方を学んだ。
参加者は各校に研修内容を広める。五福小の松嶋弓弦教諭(28)は「子どもたちとのつながりが確認でき、勉強も進められるのでプラスになる。しっかり準備したい」と話した。
遠隔授業へ教員向け研修 熊本市教委
他の自治体でも次々にオンラインでの取り組みが始まっています。
新学習指導要領の実施が始まったこの年にコロナウイルスが学校教育のスタイルまでも変えようとしています。
この4月は「例年通り」ではない「前例」のない新年度のスタートになりましたが、まさかウイルスが学校改革のきっかけになるとは思っていませんでした。
学校内部の教員や教育委員会、文科省が学校を変えることは不可能であり、外部からの働きかけが不可欠だと考えていましたが、外部からやってきたのが、まさかコロナだとは微塵も想像していませんでした。
まさに今年は教育改革元年となりました。
学びの自由化が実現する年となりました。
もう「できません」という言い訳はできません。
これを機に明治以来150年以上変わらなかった学校の姿、学びのスタイルが変わっていくといいと思います。
オンライン授業は、各家庭のパソコンやタブレット端末、学校が貸し出す端末を使う。配布できる端末数や各家庭がネットを使える環境かを調べる必要があり、授業の内容や開始時期は、市教委が後日、各校に目安を通知する。小学1、2年生も、貸し出せる端末数に余裕があれば行う。
市教委が3月下旬に実施したアンケートでは約3分の2の家庭が「遠隔授業に使える端末がある」と回答したという。
高校は、校内にタブレット端末を常備しておらず、生徒の自主学習に委ねる。
オンライン授業の時間には限界があるため、別に宿題も配布する。
熊本市が小中学校でオンライン授業 5月6日まで休校、入学式は延期
また、熊本市の先生方が民と放テレビ局協力してテレビ番組を作っています。
民放テレビ局が学習支援特別テレビ番組「くまもっと 学びたいム」をスタートしました。
熊本市教育センター「くまもっと 学びたいム」
オンラインで授業をするだけでなく学びの意識改革を
ただし、オンラインで授業をする場合に重要なことがあります。
ただオンラインを使った授業をしたらいいのではありません。
オンラインを使う使わないの問題ではなく、教育観、学びのスタイルの意識改革を行う必要があります。
動画で配信する授業の多くは視てもつまらないものが多いです。動画での授業が面白くないのは、学校でやっている一斉授業と変わらないからです。黙って椅子に座って一方的な講義を受け身で聞いているだけでは学びは得られません。自分で学ぶ力も身に付きません。
「やらされている勉強」から「自分でやりたい学習」スタイルに変えていかなければなりません。自ら課題を見つけ、課題を探し出し、その解決方法を見つけ出すという主体的な学びにしていかなければなりません。
いくらオンラインを使ったとしても一律の一方的な授業をやるのでは意味がありません。
教員は教える、ティーチングではなく、学びをサポートするコーチングすることが重要になります。
そのために最も重要なポイントは、教員が「教えない」ことです。教員が決めないことです。コーチングすら学びの邪魔になるかもしれません。
オンラインを利用するというのは、あくまでも手段のひとつにすぎません。ICTを使えばいいのではなく、主体的な学びのために必要なものを利用するのでなければ意味がありません。
この度の休校期間での対応だと思いますが、今後長期化することも考えてのことではないでしょうか。
先生方も試行錯誤しながらの取り組みだと思いますが、このような学びのスタイルがスタンダードになっていくことを期待しています。
「教員が教える勉強」から「子どもが課題解決の方法を学ぶ」という本来の学習の形に変えていきましょう。
熊本市内の小・中学校で遠隔授業 15日からスタート【熊本】
熊本市、全小中学校でオンライン授業はじまりました。
文科省新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)(PDF)