教育

熊本市教育長 遠藤洋路さんによる「文科省通知の読み方」と「通知を読む時のルール」

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熊本市教育長の遠藤洋路さんが「文科省通知の読み方」を教育長ブログに上げています。
熊本市は、2014年1月からこのような「教育長ブログ」を発信しています。もちろん教育委員会のホームページとは別にです。
遠藤さんのように、個人でFacebookやtwitterを発信している自治体の長は増えてきましたが、とてもいいことだと思います。
熊本市のすべての小中学校に2万3460台のiPadを配備するとしていますし、4月15日から熊本市の全小中学校でオンライン授業スタートするなど、学校へのICT活用を推進しています。

文科省の通知は「その読み方」を知らないと、一言一句に過度に振り回されてしまう。
すると、「そんなの無理だ」とか「そんなのは国の仕事ではない」などと、無用の反感を持ってしまうことにもなりかねない。
文科省の通知は、説明、修飾、例示が多く、「絶対にやってください」という部分は、全体の分量からするとさほど多くない。
通知を読む時のルールを知った上で読めば、だいぶ精神的に楽になるのではないか。
誤解に基づいた反感や批判は、通知を受ける側の教育委員会や学校にも、通知を出す側の文科省にも、お互いにとって不幸ではないかと思っています。

(文科省通知を読む時のルール)
〇「など」「例えば」「たり」→ 例示なので、別のことでもいい。
〇「等」→ それだけでなく、別のものも含む。
〇「場合には」「必要に応じて」→その場合にやればいい。
〇「踏まえ」「留意し」→お説教や参考情報なので、わかっていればいい。
〇「可能な限り」→できるだけやればいい。

すべての地域において最低限取り組むべき事項

遠藤洋路さんが、文科省通知の中で「絶対にやってください」という部分だけを示し、あとは黒塗りにしたものを、以下にまとめてみました。

臨時休業中の学習の保障等について(新規)
学校が臨時休業中であっても最低限取り組むべき事項等についてまとめましたので通知いたします。 令和2年4月21日

新型コロナウイルス感染症対策のために小学校、中学校、高等学校等において臨時休業を行う場合の学習の保障等について(通知)
臨時休業中であっても最低限取り組むべき事項等について以下のとおりまとめましたので、各学校及びその設置者におかれては取組を徹底していただくようお願いいたします。
併せて、各都道府県教育委員会におかれては、別添のチェックリストを用いて、域内の市町村における取組状況について報告いただくようお願いいたします。
各都道府県教育委員会におかれては、所管の学校及び域内の市区町村教育委員会に対し、周知いただくようお願いします。
1.臨時休業中の学びの保障等について
設置者が義務教育諸学校の臨時休業を行う場合においても、公教育の果たすべき役割に変わりはなく、必要な対応を行うことが求められる。
高等学校等においても、義務教育諸学校と同様の対応が求められる。
2.臨時休業を行う場合に義務教育の重要性の観点から取り組むべき事項
(1)すべての地域において最低限取り組むべき事項について

①学習指導に関すること
各設置者及び学校等が主体となって児童生徒の学習を支援するための可能な限りの措置を講じることが不可欠である。
各設置者においては、下記のような学校を支援するための取組を速やかに講じるとともに、各学校の取組状況を把握し、きめ細かく指導助言を行うこと。都道府県教育委員会においても、域内の市区町村教育委員会の状況を把握し、きめ細かく指導助言を行うこと。
ア.学校が課す家庭学習の充実
各教科等において、主たる教材である教科書及びそれと併用できる教材等に基づく家庭学習を課すこと。
やむを得ない理由により教科書が給与できていない場合にも、郵送等の手段により、速やかに給与すること。
イ.児童生徒の学習状況の随時把握
家庭学習を適切に課した上で、教師が定期的に個々の児童生徒との間で電子メール等のICTや電話、郵便等を活用した学習状況の把握を行い、児童生徒の学習を支援すること。
ウ.ICTの最大限の活用
まずは家庭のパソコンやタブレット、スマートフォン等の活用、学校の端末の持ち帰りなど、ICT環境の積極的な活用に向け、あらゆる工夫をすること。
②児童生徒の心身の状況の把握と心のケア等に関すること
学級担任等を中心として自宅で過ごす児童生徒及びその保護者との連絡を密にし必ず定期的に児童生徒の心身の健康状態を把握すること(概ね2週間に1回程度)。
その際、保護者だけではなく、児童生徒の状況を的確に把握すること。また、児童生徒の心のケア等に配慮すること。
特に、要保護児童対策地域協議会に登録されている支援対象の児童生徒に関しては、定期的に児童生徒の状況を把握すること(概ね1週間に1回以上)。加えて、児童相談所等の関係機関と緊密に連携し、必要な支援を行うこと。
3.臨時休業を行う場合の教職員の勤務について
(1)在宅勤務や時差出勤等について

教職員においては、自身の健康にも配慮する工夫を行いつつも、必要な業務を確実に継続することが求められる。
「2(1)」に述べた児童生徒への学習指導や児童生徒の心のケア等の最低限取り組むべき事項については、出勤しているか在宅勤務であるかを問わず、積極的かつ速やかに取り組むこと。
(2)在宅勤務におけるICTを活用したテレワークの実施について
各教職員が情報管理に十分配慮しつつ、ICT環境を最大限活用すること。
4.学習取組状況のフォローアップについて
各都道府県においては、域内の区市町村における取組状況について、別添2のチェックリストを用いて確認いただき、4月28日(火)までに、別添1により各都道府県における取組状況や課題等について文部科学省にお知らせいただくようお願いいたします。
文科省通知の原文はこちら(PDF)
遠藤さんが黒塗りにした文書はこちら
これをさらに、必要な部分だけをピックアップするとこのようになります。

学習指導に関すること
・各設置者及び学校等が主体となって児童生徒の学習を支援するための「可能な限りの措置を講じる」こと
・各設置者においては、下記のような学校を支援するための取組を速やかに講じるとともに、各学校の取組状況を把握し「きめ細かく指導助言を行う」こと
・教科書及びそれと併用できる教材等に基づく「家庭学習を課す」こと。
・教科書を郵送等の手段により、「速やかに給与する」こと
・教師が定期的に個々の児童生徒との間で電子メール等のICTや電話、郵便等を活用した「学習状況の把握を行い、児童生徒の学習を支援する」こと
・ICT環境の積極的な活用に向け、「あらゆる工夫をする」こと
児童生徒の心身の状況の把握と心のケア等に関すること
・児童生徒及びその「保護者との連絡を密にし、必ず定期的に児童生徒の心身の健康状態を把握する」こと
・児童相談所等の関係機関と「緊密に連携し、必要な支援を行う」こと
在宅勤務や時差出勤等について
・教職員においては、最低限取り組むべき事項については、出勤しているか在宅勤務であるかを問わず、「積極的かつ速やかに取り組む」こ
・教職員が情報管理に十分配慮しつつ、「ICT環境を最大限活用する」こと
学習取組状況のフォローアップについて
・各都道府県は、域内の区市町村における取組状況について、「4月28日(火)までに別添1により報告する」こと

こうすると、文科省が教委や学校に対して「絶対にやってください」ということがハッキリと分かりやすくなります。
最低限取り組むべきことだけでもこれだけあります。
ただ、「可能な限り」「きめ細かく」「あらゆる」「積極的かつ速やかに」「最大限」などの解釈は受け手によって差が出るとは思いますが、それぞれの判断になるのでしょう。
※「 」は投稿者がつけたものです。

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