全国ほとんどの学校が再開しましたが、長期休み明けは不登校になりやすい時期です。
「学校行くのがしんどい」子もいると思いますが、それは自分だけではありません。
休校中はみんなが休んでいるので安心感があったのですが、再開したから「学校にいかなきゃ」と悩む子も少なくないと思います。
「学校はみんなが行くところだ」「子どもは学校に行かなければならない」という考え方が間違いです。
今回はコロナの影響なのですが、普段から学校に行く行かないは子どもに決める権利があります。
不登校を選んだことに是も非もない 選ぶ権利は子ども本人にある
もともと学校が苦手だった子にとってはこの度の学校再開が大きなプレッシャーになります。
行きたくないという気持ちが強く出てくることがあると思います。
学校環境に無理に合わせるのではなくて、自分の気持ちを一番大切にしてほしいと思います。
その子にとって学校が楽しいところであれば、自分から進んでいきます。行きたくないのは「行きたくない理由」があるからです。
子どもにとって学校が安心できる場ではないから行きたくないのです。
学校?行かないでいいよ!不登校だって大丈夫
長期の休校から学校生活に戻る子どもたちには大きなストレスがかかり、精神面への特別な配慮が必要です。
不登校やいじめについて研究する公益社団法人「子どもの発達科学研究所」は教育関係者に対し、「学習に戻る準備期間として、まずはストレスの軽減を第一の目的にして」とメッセージを出しています。
・先生や友達に会えなくなるなど日常が失われたことは、子供にとって大きなストレス。
・子供は気持ちをうまく表現できず、ストレス解消法も知らないので、ニコニコしていても、抑鬱状態にある可能性がある。
・特に、コロナ禍で家庭が経済的に厳しかったり、保護者が医療従事者、家族や親族らが感染したなどの場合は、より影響を受けている。
本人の困難がどうすれば少なくなるか
診断よりも大切なことは本人の困難がどうすれば少なくなるか一緒に考えることです。
たとえ診断が出たとしても、「だから何」「だからどうする」の方が大事なんです。
大切なことは、子どもの得意・不得意を把握して、その子に合った環境調整と適切な対応をいくことです。
アセスメントの目的はそこにあります。
これが発達障害の診断基準なの? こんな人のことを障害者って呼ぶの?
子どもたちのメンタルヘルスを守るために学校再開へのメッセージ
1 全ての子どもに対する配慮
太陽光のもとで体を動かす活動やリラックスできる時間を意図的に用意してください。
・当分の間は子どもにストレスのかかる活動の強制は避けてください。
いかなる事情があっても、当分の間、教科のテスト、部活動のハードなトレーニングなど、子どもにストレスがかかる活動を強制しないでください。
・子どもたちの状況に合わせて柔軟に日課、活動を変更してください。
授業日数、授業時数が足りないからといって、すぐに子どもたちに勉強を強要するなど、いきなりストレスのある環境を作らず、子どもたちの状況に合わせて日課や活動の柔軟な変更をして
ください。
・学校でのつながりを実感させるための時間を確保してください。
(感染予防の配慮をしながら)子どもたち同士(時には先生も加わって)が遊んだりお喋りをしたりすることができる時間を確保してください。
ただし子どもたち同士が自然に話題にしているときは、禁止するのではなく、そのことにより傷ついている子ども、困っている子どもがいないか、見守ることも大切です。
・情報の提供は、子どもたちが安心できる発達段階に応じた方法でしてください。
何が起こったのか、これからどんなことが起こり得るかについて、安心できるような誠実かつ発達段階に応じた方法で、情報を提供してください。
・今の頑張り、状況を認める言葉がけを多くしてください。
「頑張れ」「しっかりしなさい」のような叱咤激励は行わず、「がんばっているね」「それでいいんだよ」など、今の頑張り、状況を認める言葉がけを多くしてください。
・何よりも先生たちが機嫌良く、安定した態度で子どもたちに臨んでください。
不安なとき、子どもたちは大人たちの言動、表情に敏感になっています。
・効果的な心理教育実施の検討をしてください。
子どもたちに「不安への対処法」「ストレスの解消法」などの心理教育を行うことは効果的と考えられますので、検討してください。
2 個別の支援が必要な子どもへの対応
不安そうだったり元気がなかったり(抑うつ的だったり)、逆にはしゃぎすぎていたり、粗暴になったり、無理して頑張っている様子が見られたりしたら支援を始めてください。
・ 個別に話を聞く、保護者から情報を得る、家庭訪問をするなどの支援をしてください。
個別に呼び出して話を聞く、保護者から電話等で情報を得る、家庭訪問をするなどの支援をしてください。
・全ての子どもと個別に話せる機会を設定することも検討してみてください。
場合によっては、全ての子どもと個別に話をする機会を作るのも良いと思われます。
(アンケート調査をすることも良いですが、子どもの発達段階によってはアンケートに書くことが難しい場合があります)
※出典:子どもたちのメンタルヘルスを守るために学校再開へのメッセージ(子どもの発達科学研究所)
普段の学校生活で心がけることばかりです
これらは、長期休校後の注意点として書かれていますが、実は、日ごろから心がけておくべきことばかりです。
子どもたちのストレスの軽減、ストレスのかかる活動の強制をしない、子どもたちの状況に合わせて柔軟に日課の調整、今の頑張り、状況を認める言葉がけ、安心して相談できる関係つくり、個別対応などなど、決して特別なことではなく、教員として当たり前のことばかりです。
しかし、実際には、授業時間数を確保するために休憩時間、自由時間がなくなる、ペーパテストによる競争による評価で追い込まれる、一律一斉の教育課程を強制される、相談しようとしても話を聞いてもらえないなど、日常的に不安と緊張感で過ごしている子どもたちは少なくないと思います。
だから、これまで以上にゆったりゆとりある時間計画で学校生活をしていくことが大切だと思います。
学校再開しても登校を無理強いしないこと
全国各地で学校の再開が相次ぎ、ようやく教室に子どもたちの笑顔が戻ってきました。しかし長期にわたる休校により、子どもたちはさまざまな不安やストレスを抱えています。
緊急事態宣言の解除に伴い、多くの学校が再開していますが、今、必要とされるのが子どもたちのこころのケアです。
名古屋市は、学校の再開について、休みが長期にわたり新たな生活に不安を抱いている子どももいるとして、保護者に「登校を無理強いせず、相談してほしい」と呼びかけています。
学校再開…登校を無理強いしないで 名古屋市が呼びかけ
登校することで、新型コロナに感染してしまうのではないかという健康面の不安もあります。持病などを抱える子どもがいる家庭の不安はなおさらだと思います。
熊本市教委は感染への不安を理由に登校しない場合は欠席扱いにしないことを決めました。無理をして登校する理由が一つなくなれば、不安もその分和らぐだろう。こうした柔軟な対応はもっと広がってもいいと思います。
学校再開 一体となって不安解消を
NPOの調査でも、子どもたちが休校中に、不安やストレスを抱えていたことが分かり、専門家は、「子どもが出すSOSや変化に周りの大人が気付いてほしい」と呼びかけています。
新型コロナの休校明け 「子どものケアをしっかり」
不登校に詳しい首都圏の公立小学校の養護教諭も「学校に来られない子、来ても適応できず体調を崩す子は確実に増えるでしょう」と懸念しています。
休校中、親と密接に過ごした小学1年生や、生活リズムが崩れた子、一人で部屋にこもっていた子などは、特に登校しづらくなる。一方で教師は授業の進度や衛生面の管理に追われる。「学校にゆったりした空気がなく、休校中とのギャップが大きくなる。学校ではいつも以上に子どもの様子に目配りしてほしい」と求めています。
学校再開しても…しんどい子の負担感「目配りして」
地域差はあるものの、さまざまな形で小学校も学校再開となっています。子ども達が休校期間中に受けた不安やストレスと教師はどう向き合い対処していく必要があるのか。
学校再開時の子どものストレスと受け止め方【新型コロナ対策】