県内の児童生徒・保護者・学校関係者の皆さまへ(PDF)
4月3日に鳥取県教育委員会から「新学期開始に伴う新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止について」という通知が出ました。これはおそらく始業式に児童生徒に配布されるものです。
しかし、コロナ対策として学校の衛生管理の徹底は現実として不可能です!
文科省から出た「学校再開ガイドライン」の実行は不可能です!
そこには「県内の感染状況を考慮し、手洗いの徹底はもとより感染拡大のリスクを高める3つの条件(密閉、密集、密接)を極力避けるなど、”徹底した感染防止策を講じた上で”予定どおり新学期を開始します。」
「徹底した感染防止策を講じた上で」とありますが、現実としてそれが可能でしょうか?
〇「登校時」「食事前」「掃除後」「運動後」などにこまめな「手洗い」を徹底する。
〇児童生徒が手を触れる箇所(ドアノブ・手すり・スイッチなど)の消毒を行う。
〇感染拡大のリスクを高める3つの条件(密閉、密集、密接)を極力避ける。
・こまめな換気(1時間に5~10分程度・2方向の窓を開ける)を行う。
・児童生徒が密集しないよう空間を工夫する。
・近距離での会話や発声、合唱を避ける。
・部活動を行う場合は、感染防止に十分配慮しながら、短時間での効率のよい活動を心がけるとともに、活動後の衛生管理や、用具の消毒等に努める。
・給食の配膳の際は、児童生徒等が間隔を空けて並ぶなどの工夫を行うとともに、児童生徒が対面して喫食する形態を避け、会話を控える。
これは、文科省から出た「学校再開ガイドライン」を基にして作られたものだと考えられますし、学校へはもっと細かな指示が出されていると思いますが、「家庭での感染症の予防対策」はできるでしょう。しかし、学校現場においてその実行は不可能です。「極力」「できるだけ」「努める」ことはできても「衛生管理の徹底」はできません。
学校の衛生管理の徹底が十分にできるのかはなはだ疑問です。
・児童生徒が密集しないよう空間を工夫することは、机の配置間隔をあけたり、移動時には行列を組まないということですが、教室という狭い空間の中では物理的に不可能です。
・近距離での会話や発声、合唱を避けて、どうやって授業を行うのか、歌を歌わない音楽の授業?無言での授業であれば可能ですが、それならみんなが教室に居る必要はありません。
・部活動を行う場合の感染防止への配慮とは、短時間での効率のよい活動をいうのか?
活動後の衛生管理や、用具の消毒等に努めるだけの道具や衛生用品などの確保はすべての学校で十分にできているのか?それを管理徹底するのは部活顧問なのか、他に人的な配置はあるのか?
・給食の配膳の際は、児童生徒等が間隔を空けて並ぶ、児童生徒が対面して喫食する形態を避けるといっても、物理的に不可能です。会話を控えるというのは無言で食べるということですが、それでも衛生面で問題はあります。 それでは楽しい時間にはほど遠いです。
少し考えただけでも、教室でこれだけの管理をするのがどれだけ大変かが想像できます。実際に学校で衛生管理の徹底をするには、ここに書いてあることだけではありません。学校にある設備や用具に手を触れないで活動するなんて不可能です。学校で集団生活をするということが大きなリスクになります。学童や幼稚園も同様ですが、集団感染のリスクが高い場所で濃厚接触しないで学校生活ができるでしょうか。
このような予防対策を頭の中でイメージすることは簡単ですが、児童生徒が集団生活をする実際の教室では不可能としかいえません。どう考えても学校現場で対応できないでしょ。このように学校現場はいつも無理、無茶、無駄なことばかり押し付けられてます。
小学校では学級担任は一人しかいません。実際には管理職など級外の教職員も手伝うことになりますが、これらのことを管理徹底するのは不可能だとしかいえません。まだまだ多くの問題を抱えたまま、安全面でも衛生面でも不備な状態のままでの学校再開には反対です。
この状況下で学校を再開しなければならない理由は何か?
総理の一声で一斉休校になった3月上旬と比べて今の方が危険な状況にあります。
鳥取県でも多くの施設や店舗が自粛閉館、閉店し、イベントが延期、中止されているている中で、なせ今学校再開なのか、まったく理屈が分かりません。今の時点でこの選択が最善であるとは思えません。
日数稼ぎのための休業、再開なのか? 学校はなんのため誰のためにあるのか?にも書いていますが、鳥取県教育委員会は、3月18日から学校再開するときに保護者に向けて教育長緊急メッセージを発しました。
それによると、学校再開の理由は次のようなことだと読み取れます。
・本県では、現時点で感染が確認されていないこと。
・臨時休業により、年度末の行事や普段の生活を奪われた子どもたちの心身への影響や学習の遅れへの懸念が日に日に大きくなってきており、こうしたことへの対応が急務となっている。
・感染事例がない今だからこそ、学校において「友達に会って話をする」、「一緒に学ぶ」、「一緒に体を動かす」、そうしたことで少しでも子どもたちの不安やストレスを軽くするような機会を増やしていくべき。
これらの再開理由と感染リスクが高い学校で長時間の接触をしなければならない生活を送ることを比べた場合、どういった判断をするのがいいのか。それが最も重要なことです。だから、保護者への協力のお願いだけでなく、再開しなければならない理由を誰もが分かるような説明も必要です。
「うちの子だけは(感染させないから)大丈夫」が問題!
自分が感染するのを覚悟して学校に行くのならまだいい。
無自覚の子や教職員が他の子にうつしてしまう可能性がある。そしてまた次々感染を拡大する恐れがある。
今のところ、鳥取県内にはコロナ感染者はでていませんが、感染者が出てから休校にするというのでは手遅れです。これではあまりにも危険です。教育行政は、今日本中でそういう状況下にあるのだと強く認識すべきです!
学校というところは「3密」だらけ、それを「知恵」と「工夫」と「努力」で「3密」を避けるなんて不可能です。
「うちの子だけは(感染しないから)大丈夫」ならまだいいです。
「うちの子だけは(感染させないから)大丈夫」と思っていたとしたらそれが問題です。
コロナだって自然災害であって、人間がコントロールできることじゃない。
でも、人間には命と健康を守る知恵があっても、それを実行しなければ守ることはできない。
311の教訓を誰も学んでいない。
今回ばかりは、何もなかったとしても休校にしたことを後になって後悔したらいい。それで学ぶことはたくさんあるから。
「学校再開へ3密避ける」のは絶対無理です。
この期間は休校にして、それと同時にまたとない教育改革、教員の働き方改革のチャンスです。この機に学校と家庭をオンラインでつなぐとどうなるか、何ができるのかトライするチャンスです。
そういうトライアルをしないまま、不完全、不備なままの学校を再開することは児童生徒の健康を脅かすことになります。
「学校における新型コロナウイルス感染症」への対応について(鳥取県教育委員会)
県内の児童生徒・保護者・学校関係者の皆さまへ(PDF)
鳥取県新型コロナウイルス感染症対策(鳥取県教育委員会)