教育

「4年生が“およその数”でプログラミング体験」これって、なんか違う

投稿日:

「相模原市立の全小学校、4年生が“およその数”でプログラミング体験」という授業が公開されました。
記事によると

今回実施したプログラミング授業は、4年生の算数「おおよその数の表し方」。課題は「およそ12㎝のえんぴつは、何㎝から何㎝の長さでしょうか」というもの。
授業の主旨はあくまでも、「プログラミングを学ぶ」ではなく「プログラミングで学ぶ」であるから、ツールの操作で時間が割かれることが無いように、数日前の学級活動の時間にScratchに慣れる時間を設定。命令のブロックを使ってスプライト(キャラクター)を動かしたり、背景を変えたりと自由に操作させたという。

これって、なんか違うと思います。
「プログラミングで学ぶ」のが目的になってはいけない。算数の授業のために事前にスクラッチの使い方を覚える時間を作るのですか?
算数の目標に到達するために「プログラミングを使うのが有効」なら、その考え方で学ぶというのが本来の形です。
多くの研究会で「プログラミングありき」の学習になっていることには疑問があります。
かつて学校にPCが入って来たときも「なんとかしてPCを使わせよう」として失敗しましたが、今回のICTにしてもそうで、まずは「その学習の目的は何か?」「その目的に達するために有効な方法は何か?」が先になければいけません。
ICTはそのためのツールにすぎません。
ICTを使わないでも簡単に目的に達することができるのなら、わざわざICTを使う必要はありません。
本時の目標は
・「以上」「未満」「以下」の意味を理解する。
・四捨五入の考えを使って概数を求めることができる。
でいい。
なぜここに「プログラムを作ることができる。」が入ってくるのか分かりません。
その理由は、「プログラミングで学ぶ」ことが目的になっているからです。
少なくとも本時の目標に到達するためには、
・「小数第一位で四捨五入」と決めれば11.5~12.4が「12」と決めていると説明する。
・「おおよその数」を、「以上」「以下」「未満」という言葉で言い現すことができることを教える。
・そして、例題と練習問題をして理解を深める。
これだけやたらいい。
四捨五入の重要なポイントは「どの位で四捨五入するのか」です。
これだけのために、面倒なスクラッチの準備までする必要はないです。
もしこれが、「今日の目当てをクリアするためにスクラッチを使ってみたらどうかな?」と子どもたちの方から考えだしたのであればいいです。そんなこと絶対ないですが。
しかし、この授業は指導者の方から「今日はコンピュータを使って・・・」とその方法まで指示しています。
かつてPCが導入された時も「情報教育とはPCを使って情報を整理する教育」と間違った解釈をしていた失敗があります。
「ICT環境がなくても今すぐに出来るプログラミング教育「というタイトルですが「プログラミング教育」とはICT機器を使った学習をいうのではありません。
ノートと鉛筆だけで今すぐプログラミング教育はできます。
フローチャート作り、公式を導く学習なども立派なプログラミング学習です。
また、これはこれまでもそうでしたが、多くの研究会では「研究会のための授業」に終わってます。
ノートと鉛筆、プラスアナログなものでも十分理解できるのに、わざわざ特別なツールを準備して研究授業を公開しています。
それを見て、ほとんどの教員は「これは、うちの学校では無理だな」と思っています。だからそのときだけで終わって広がりません。
普段の授業で使えなければ意味がありません。
重要なことは教員の負担を軽くし、かつ簡単に使うことができて子どもの理解が深まることです。
本時の学習のねらいを達成することが目的です。
そうでなければ、授業で使うことは難しいです。
新学習指導要領のポイントのひとつが「教員の授業構成力」です。
「何をしたいか」「何が目的なのか」の部分が最も重要です。
それを授業の中でどう使うかというのが「教員の授業構成力」です。
どんな子どもに育てるのかという「めざす子ども像」があり、「そのために何をするのか」ということが先にあって、「だからこれを使うと便利だよ」でなければなりません。
今やろうとしている学校へのICT機器の導入はその視点が忘れられているような気がしています。機器の使用が目的になって授業を組み立てています。
かつてPCルームが作られ始めたころとよく似ています。
授業を組み立てるのは教員の役目であり、プログラミングソフトの指導をするのではありません。(もちろん、そのスキルに長けた教員がいるのに越したことはありませんが)
多くの教員は機器の使用に対する負担感が強いです。実践事例は上で書いた通り、普段は使えないことばかり。そのメリットを授業で活かすとなると、さらにハードルが上がります。
なので、本当に学校現場に導入しICTの活用を進めていくためには、教員が授業を進めながら機器のサポートは専門家にしてもらえるようになるといいと思います。学校専属の教育に長けたSEを養成していくことも必要だと思います。
ICT環境がなくても「今すぐに出来るプログラミング教育」(相模原市)

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

-教育

執筆者:

関連記事

合理的配慮を具体的にお願いするためのステップ

このお母さん、すごく勉強しておられます。 「合理的配慮」とは、障害がある人にツールを与えることではありません。 障害があるないに関わらず、どの子にとっても学校生活がスムーズにできる支援体制や環境を整え …

発達障害の子にとって二次障害が本当の意味での「障害」

軽度の発達障害や、発達障害グレーゾーンの子どもにとっては、診断名の障害が「障害」なのではありません。 その障害によって起こる問題や課題、つまり二次障害が、その子にとって本当の意味での「障害」となるなの …

「こども保険」の前に「子供子育て拠出金」を徴収されている

小泉進次郎氏らが3月に創設を提言した「子育て世代の負担を軽減」するという「こども保険」。 実は、すでに「子供子育て拠出金」を徴収されていることを知っている人はどれだけいるでしょうか? 「 子ども・子育 …

これが発達障害の診断基準なの? こんな人のことを障害者って呼ぶの?

わがまま。 いつも甘えてばかり。 こだわりが強い。 集団行動ができない。 いつも一人でいる。 いつも動き回っている。 思いついたことをすぐに口にする。 人の言うことを最後まで聞けない。 人に指図される …

合理的配慮って学校の先生もどうしたらいいのか困っています

9月に鳥取らくだカンファレンスに来てくれた松谷くんが載っています。 彼は高校入試の4日前になって配慮が認められ合格しました。 そして今は高校生活を生き生きと楽しんでいます。 大学入試センター試験では、 …

スポンサーリンク

スポンサーリンク
21世紀の松下村塾 教育相談無料