教育

「見えないからこそ大変なんだよね」の考え方で救われる発達障害の人たち

投稿日:

障害者差別解消法は、障害者のためだけの法律ではありません。
すべての人が暮らしやすい社会を作っていくことがねらいです。
・どんなことが障害者差別になるのか
・不当な障害者差別の具体例
・合理的配慮の具体例
・障害者差別を解消すると、どんな世の中になっていくのか
分かりやすい事例で説明してあります。
例えば、発達障害の人が字を覚えられないのは、「障害の特性」から来る認知、見え方、記憶、感覚の問題や書字、筆圧など運動面の問題が要因になっています。
字を覚えられない発達障害の人が漢字を何度も書いたり、時間をかけて暗記する事は得策ではない事が多いです。
学校でよくやっている繰り返しドリルや漢字書き取りは、苦痛に感じるだけで覚える効果はほとんどありません。
何度も書いて覚えようとしないのは、決して怠けているのでも手を抜いているわけもないんです。
発達障害の人には、その人に合った「特別な方法」が必要で、「学び方が違う人」なんです。
「特別な方法」といっても、発達障害の人を特別視したりひいきしているのではなく、「その人の特性に合った方法」だという理解が必要です。
発達障害の人は、「障害特性ゆえに抱える困難」と、「周囲からの誤解からくる困難」と、二重の困難を抱えています。
「障害」というのはその人自身にあるものというより、「環境側」にあるんです。
「環境側の障害」、いわゆるバリア。環境(社会)が、障害のある人が生きやすいようにさえあれば、その人の障害は「障害」ではなくなるんです。
つまり、障害のある人は、「生きていく上で社会の障害(バリア)に困らされている人」なんです。
「障害のある人の視点に立って、このバリアを解消しましょう」というのが、障害者差別解消法の「合理的配慮」なのです。
発達障害の子どもの場合、いくら漢字練習をしても漢字が書けるという「成果」が出ない場合があります。
例えば漢字の反復練習を無理やりやらせたとしても書けるようにならなければ、子どもは「いくら努力してもできない」と考え、すべての学習でやる気が出ない、無気力になってしまいます。
努力が成果に結び付かないために、学習面で自信を失ってしまいます。
こうなると、常に学習に対する苦手意識がついてしまいます。
これは本人の努力が足りなかったり怠けていたのが原因ではなく、学習方法が合っていなくて成果が出なかったために、そうなってしまうのです。
・授業時間に文章を書くなどの作業が続かなくて落ち着きがなかったり
・繰り返しドリルを途中で止めて他のことをしたり
・教科書などの音読が苦手でスラスラ読めなくてイライラしてしまったり
・時間内では漢字テストが半分くらいしかできいことで他の子と比較されたり
・ノートの文字がぐちゃぐちゃで読めなくて注意されたり
など、本人は一生懸命頑張っているにもかかわらず、成果が出ないことで感情の起伏が生じ、「できなかったこと」や「別行動をしてしまう」ことを叱責されることによって、ますます自信を失っていくケースがあります。
その原因には、学習障害だけではなく、読み書きの発達、集中力や注意力の特性など、いろいろなことが考えられます。
しかし、どんな子どもであっても適切な支援、その特性に合った学習方法によって成果を出すことはできます。
無理やりドリルで反復練習させるのではなく、その子に合った他の手立てを考えてみることが大切なのです。
発達障害の場合は、その多くは他者にその障害が見えません。
特性の理解がないために、周囲の人からは、甘えている、怠けている、集中力が足りない、授業中なのに遊んでいる、ふざけた態度をしているとしか見られないことが多いです。
その子に合った学習方法や評価の仕方を改善するためにも、その子の特性を理解することが重要なのです。
「発達障害があるように見えないよね?だからこそ大変なんだよね」の考え方で救われる発達障害の人たち

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

-教育

執筆者:

関連記事

精神障害や発達障害の人数が増えた本当の理由

国家や統制する側からすれば、枠にはめ込んで一律に指導、命令したほうが面倒はありません。 そのためには、「上の者」に対して「下の者」が何も言わずに従う体制を作るのが手っ取り速いのです。 「違い」に気づい …

学習指導要領って「国が子どもにさせたいこと」、ここが変だと思うけど

2017年3月に改訂され、2018年度から移行が始まる小中学校の「学習指導要領」で、「小学校の外国語教育の教科化」のほか、全体として「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」を重視した学び …

鳥取県教育行政の不登校に対する取り組みの課題と要望

平成30年2月定例鳥取県議会で「不登校・ひきこもり対応についての一般質問」が行われました。 私はこれまでに不登校の親の会や不登校対応についても研修会やフォーラムに参加してきましたが、その中で取り組みの …

教科書や新聞記事レベルの文章をきちんと理解できない中高生が多くいる

中学を卒業するまでに教科書を読めるようにすることが義務教育の課題。これって当たり前のことなのですが、教科書や新聞記事レベルの文章をきちんと理解できない中高生が多くいることが、国立情報学研究所の調査で分 …

不登校は問題行動ではない、学校復帰を前提にする必要はない!

文科省は2019年10月25日に「これまでの不登校対応を転換させる通知」を全小中学校へ向けて出しました。「学校へ戻すことだけがゴールではない」という新しい不登校対応の方針が出ましたが、そもそも「学校に …

スポンサーリンク

スポンサーリンク