今になってから祖父母に戦争中のことを聞いておけばよかったと思う。
祖父母の方から話をすることもなかったし、自分から聞こうとすることもまったくなかった。
覚えていることは、母のこんな言葉。
自分がそのとき何歳でどんなときだったかは覚えていないが、「天皇陛下が助けてくれる」。
「天皇陛下さま」だったか「天皇陛下さん」だったかは覚えていないけど。
きっと学校でも親からも周囲の人たちからもそんなことを教えられてきたのだろう。
子ども時代にそんな経験をしたのだろう。
教育とは恐ろしいものだ。世間の声も怖いものだ。
そして、それを聞いていた父は肯定も否定もしなかったように思う。
子どものころの戦争中のことを思い出したくなかったのか、おじやおばをはじめ、戦争で親戚の人たちや知人を亡くした両親だからかどうかわからないけど、そういったことを覚えている。
両親にも戦争についてははなしを聞いたことはないし、その内容は忘れたけど母からは看護学生時代に広島に行ったことは聞いたことがある。
今考えるともっと話を聞いておけばよかったと思う。
お盆の墓参りに行くと誰もお世話をしていない背の高い兵隊さんの墓石が増えてきたなあと感じる。
死んでから立派な墓を作ってもらった遺族の人たちはどんな思いだったんだろう。当時の政治家たちをどう思っていたのだろう。きっと言いたいことはたくさんあったと思うけど、言えないままだったのではないか。
二世代前の6人とも亡くなった今、改めてこんなことを考えています。
だから、自分の子や孫には自分の子ども時代や今思うこと考えていることを、同時代に生きている今話しておきたいと思う。