教育

不登校は精神疾患ではない、不登校支援は「当事者のニーズ」が最優先

投稿日:2018年6月10日 更新日:


クラスジャパンの方向性ですが、読んでいてやっぱり「上から感」が強いと感じます。
結局、クラスジャパンは学校復帰が目的で、既存の教育システムという枠の中でどうするかという発想です。
また学校に行かない期間は「休養」だけではなく、行かないことが目的である子どもだっているわけです。
最も大切なことは、「本人がどうしたいのか」です。それがすべての出発点です。

「不登校の生徒を元の学校に戻す」 教育支援団体に批判殺到「ふざけるな。戻すな」

私も斎藤環さんの不登校・ひきこもりについての考え方と同じです。

まず確認しておかなければならない点がひとつあって、それは不登校は精神疾患ではないということなんですね。「ひきこもりは疾患ではない」というのと同じ意味で、疾患単位ではないというのは自明の前提なんです。けど、まあ誤解はまだあるという。その辺の誤解は、今回のクラスジャパンのようなプロジェクトが出てきてしまった遠因かとも思いますけど、まあ不登校は病気ではないと。
で、「病気ではない」ということは、別に不登校の子供が全員健康だということではなくて、要するに「不登校」とは疾患概念と無関係であるということなんです。

もちろん私も、今の学校のシステムが素晴らしいとは全然思いません。ただ、うまく出来ているところもあるから存続してるわけです。今の教育システムで、7割の子供はハッピーになれます。私のざっくりとした推定ですが。ただ、残りの3割にとっては地獄になっていると思います。
この格差をなんとかしないと、私は教育を褒めるわけにはいかないと思います。だけれども、7割の子供がハッピーであるという事実は無視できないわけです。そこに戻りたいというニーズもある。学校教育を全否定してかかるような不登校支援は違うのかなと思います。

最も重要なことは「本人の意志」「本人のニーズ」です。
学校に行く自由もあれば、学校に行かない自由もある。
ジャパン・プロジェクトのような「再登校が目標」という「学校復帰支援を押し付ける」ような支援は大きな問題です。
「学校に行きたいけど行けない」という子や「何とかして学校に行かせたい」と思っている親御さんには聞こえがいいかもしれませんが、押し付け支援には問題ありです。
学校を休むことは何の問題もありませんにも書いたように不登校という「休養」は絶対に必要です。
「休養」も必要だし、「学校に行かないこと」が目的の子にとっては学校に行かない自由を選んだわけなので、それは「休養」ではありません。それを「不登校」とも呼びません。
しかし、クラスジャパンはそのような考え方ではありません。
「クラス・ジャパン」という言葉からして、「みんなを学級に入れよう」という恐ろしいことです。
そんなこと絶対に無理です!
「学校に行かない自由」が認められないのですから。
こういうと学校システムを全否定しているように受け止める人がいます。
「学校には行かなくていい」といったら子どもが学校に行かなくなるのではと心配する人が出てきます。
しかし、それは違います。
学校に行く自由もあれば、学校に行かない自由もある。行くか行かないかは子ども本人が決めたらいいんです。「学校に戻りたい」というニーズもあります。
学校に行きたい子にとって学校を楽しい場所にすること、行かない子が楽しく過ごせる場所を創ること。これが多様性を認め個を尊重すること、自由を認めるということです。それが私たち大人の責任です。気持ちを受け止めるという心の関係作りはもちろん、安心して楽しく過ごせる具体的な居場所創りを実現していく必要があります。
だから、「クラス・ジャパン」のような押し付け支援には恐ろしさを感じています。
最も重要なことは「本人の意志」「本人のニーズ」です。

「不登校全員を学校復帰させたい」と目標を掲げた団体に批判続出の理由

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

-教育

執筆者:

関連記事

令和元年度 低学年の不登校過去最多を更新、「早期支援を」というが?

令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査 この調査を見るたびに、全く他人事だと考え、学校に行かないことを問題視していると感じます。 そもそも文科省は「問題行動・不登校調査 …

「教育の機会の確保等に関する法案」はフリースクール容認断念

この法案はフリースクールや自宅での学習が市町村教委に認定されれば、学校に通わなくても「義務教育を修了したと認める」というもので、不登校の子にメリットがあるように見えるのですが、従来通りであっても、学校 …

ROCKETプロジェクトは学びを保障しつつ、選択肢を広げる

こういうことは学校ではできない。 だからやるんです。 子どもは、みんな天才です。 それを見逃しているのが「大人のものさし」です。 子どもの「やりたい」を保障する社会をめざしましょう! DO-IT Ja …

ながい あづみさんの「先生への手紙」人と同じや平均を求めないで!

ながいさんの「先生への手紙」とても分かりやすいです。 「特性」について、「だからどうする」「だからこうしたらいい」がよく伝わってきます。 「窓口になっている先生がこの特性に無理を与えさえしなければ、与 …

教員の多忙化解消プラン 大事なことはそれを実行できるかどうかです

「教員の多忙化解消プラン」の策定が各地で行われている。 しかし、そこには具体的な行動が決められていない。はっきりと明記されていない。 どれもこれもが、「マニュアル化」「ICT化」「支援体制作り」「効率 …

スポンサーリンク

スポンサーリンク
21世紀の松下村塾 教育相談無料