「多様な教育機会確保法案」については、不登校の当事者や親御さん、関係者の多くは「このままでは賛成できない」という声が多いです。
その大きな理由のひとつが、不登校の児童生徒に対する指導方針として「学校復帰が前提」である点です。
これまでにも述べてきたように、学校だけを(正式な)学習の場であると限定することが問題です。
「不登校への指導=学校復帰」という国・文科省・教育委員会の原則のもとに「不登校指導」が行われています。
これを改めて、全ての子どもの多様な「学びの場」を認めていくことが必要です。
何度もいいますが、「義務教育」とは、子どもを「義務教育学校に通わせる」保護者の義務ではありません。
すべての子どもに普通教育を受けさせるのは国民の義務です。国の義務です。
それは、「学校に行かせる」義務ではありません。
すべての子どもは「普通教育」を受ける権利をもっています。「普通学校」に行く権利も行かない権利ももっています。
特にこの法案の問題となっているのが、「個別学習計画の作成」です。
「個別学習計画」は、保護者が作成し、教育委員会が承認すれば、学校籍を抜き、ホームスクール(家庭学習)やフリースクールなどでの学習を学校と同様のものと認めるというものです。
その個別学習計画の作成に当たっては、教育委員会が承認するためのさまざまな条件があります。
平成27年度鳥取県はフリースクール連携推進事業への補助金を交付する施策を実施しましたが、個別学習計画によって「フリースクールが学校みたいにならないか」「家庭が学校みたいにならないか」と懸念されています。
この事業は平成28年2月29日までで予算に達し次第、受付を終了するとなっていますので、現在どのくらいの申請があったのかはわかりませんが、かなり厳しい条件付きです。
それを各家庭でクリアするとなると、不可能だといってもいいです。
現在、鳥取県内には東中西部にそれぞれ1か所ずつフリースクールが設置されています。
鳥取市と中部のフリースクールは小中学生が対象で、鳥取県教育委員会・各教育委員会に適応指導教室として認定された学校以外の「学びの場」「相談の場」としてスタートしていますし、米子市には高校生を対象として「高等学校卒業」資格取得をめざしているフリースクールや単位制の通信制の高校もあります。
また、県内各地には不登校の児童生徒を受け入れている個人塾もあります。
「多様な教育機会確保法案」が、真の意味での多様な学びの場を認められること、「個別学習計画」が学校復帰だけを目的とせず、個々の子どもの自立を目的として作られることが求められます。
「平成27年度鳥取県フリースクール連携推進事業」についてはこちら
「多様な教育機会確保法案」はこのままでは賛成できない
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執筆者:azbooks