教育

成果主義に基づいた誤った価値観を改善する方法

投稿日:

教室掲示って何のために貼っているのか?

「みんなちがってみんないい」
「ひとりはみんなのために みんなはひとりのために」
「友だちを大切にしよう」
教室の前でよく見る貼りものです。
これって、何のために貼ってあるのでしょうか。
それを目標にして学級経営をするためなのですが、ただ飾りのように貼ってあるだけという教室は多いです。
貼ったことで完結しているのです。
貼っているだけで、実際にはそのような経営も生徒たちの関わりもできていない。担任自身がそれを実行していないケースは少なくありません。
そのために、具体的にどんな場面でどんな対応をし評価するのか、子ども同士の関わりをどうしていくのかがありません。
あったとしても、担任の価値かんの押しつけであったり、表面的な見栄えや担任のみえのためだったりすることもあります。

学級での実態は真逆ではないの?

「みんなちがってみんないい」といいながら、みんなが同じことを同じようにさせている。個の価値が認められていない。
「ひとりはみんなのために みんなはひとりのために」といいながら、集団から外れる子は排除する。集団行動ができない子は強制的に参加させる。
「友だちを大切にしよう」といいながら、担任が児童生徒を尊重しないで、自分の価値観で支配している。
これでは、子どもたちもそのように育っていきます。
このような態度では、一人ひとりの特性を認め、個を尊重する心は育ちません。
学級間での競争を取り入れることで、「クラスの出来栄えが一番」、「自分のクラスを一番にしる」ことが優先されることで、無意識のうちに「できない子」「遅い子」「協調性のない子」を排除しているのです。
それは「クラスが勝つため」という大義名分のもとで行われているために、担任はそれが正義、善意だと信じ込んでやっているので自分でもクラウス運営で悪影響を与えていることに気づきません。

走るのが遅い子の親へ「あなたの子がいると負けるから運動会の当日は休んでくれない?」
音楽会当日、トラブルメーカーの子の鍵盤ハーモニカのホースには小さな穴が空けられていた。

このような集団全体の調和を維持するために、特定の個人を排除する、「個性を大切にする教育」とは真逆の事態が起こるのは、担任間の「成果主義のプレッシャー」が大きな要因です。
・学力テストでの成績
・運動会の順位
・音楽会の出来栄え
・全体集会でのきまり
・学習時間でのしつけ
など、学校生活のいたるところに成果主義、競争原理が入り込んでいます。
そこで、担任は競争に勝つ、見栄えの成果を出すことを最優先し、そのためには一部の子どもを排除することは正義であるとなってしまうのです。
これを、多くの教員が「子どものためによかれ」と思い込んでいることがやっかいです。
親の子育てや学校教育の中に根強くはびこる成果主義の罠に気づいていない、気づいていてもそれを変えるすべを持っていないことが大きな問題です。
集団の成功のため、足を引っ張る者を排除する姿勢を大人が見せていると、「生産性の低い人間を蹴落としてでも成果を上げることが大事」「知的にも運動能力も劣るから、あなたは必要ない」という誤った価値観が子どもにも沁み付いてしまいます。
それが社会の正義、世間の価値観を作り上げてしまうと、とんでもない社会になってしまいます。
しかし、それに気づいていない人は多いです。

成果主義に基づいた誤った価値観を改善するには

では、そのような成果主義に基づいた誤った価値観を改善するにはどうしたらいいのか?
・学校から競争原理をなくすこと
・「できる できない」という評価をやめる
・個の目標を集団の目標よりも優先する
・見栄えや出来で評価するのではなく、個が取り組んでいること自体を認める
・運動会や音楽会のルール、評価基準を根本から見直し改善する
・普段の体育や音楽の授業の発表の場と位置づけ、はでな演技や成果の発表の場としない
・教員個々の持つ特徴を活かした授業実践ができるようにする
・教員間の競争原理を学校から排除する
など、「個性を大切にした取り組みを最優先していくことで、優しい子どもに育っていきます。
そのためには、教員の理解はもちろん、保護者の理解も必要です。
「うちの子が一番」「うちの子ができたらいい」「うちの子は○○ちゃんより上」と考えている保護者の意識改革も必要です。
こうしていけば、競争に勝つ強さを育成するのではなく、人として強く優しい子どもに育っていきます。
「個性を大切に」と唱えていながら、学校で障害者排除が起きる理由

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

スポンサーリンク

-教育

執筆者:

関連記事

「アダプティブ・ラーニング」で不登校の児童生徒を支援する自宅学習 鳥取

この取り組みは悪くないと思います。 鳥取県教委のいう「不登校問題の改善」って何? 「不登校はいつでも、どこでも、誰にでも起こりうる『問題』」という表現は間違い。 結局「学校に通う」ようになることが目的 …

全国学力・学習状況調査は「日頃の合理的配慮がある」ことが前提

全国学力・学習状況調査への合理的配慮も「日頃の合理的配慮がある」ことが前提って? 合理的配慮は「特別なこと」ってこと? そうじゃないでしょうに! まったく文科省は言っていることとやっていることに矛盾が …

高校の特別支援教育ではどんなことをしているの?

学校教育法は、特別支援教育の実施について特別支援学校や小中学校だけではなく、「高校もその対象になる」と明記しています。しかし、実際には小中学校の通級指導のような「特別の教育課程」を編成する制度が高校に …

2021年12月6日 米子市「こども総本部」がスタートしました

米子市で令和3年12月6日からふれあいの里を拠点として「こども総本部」という新しい組織が設置され、スタートしています。 「こども総本部」は、子どもに関わる米子市の福祉保健施策と教育施策を一体的に、そし …

愛する国のために犠牲になることを教えるなんて、冗談じゃない

のっぽさんと同感です。 これって今もまったく変わってないよね。 「愛する国のためにどうすればいいのかを勉強するなら分かる。でも愛する国のために犠牲になることを教えるなんて、冗談じゃない」 「終戦を境に …

スポンサーリンク

スポンサーリンク
21世紀の松下村塾 教育相談無料