「親が子どもを肯定的に評価できないと、子ども自身も自己肯定感が低くなる。
親の自己肯定感が低いと子どもの自己肯定感も低くなる。」
確かにそうだと思います。
ではなぜそうなってしまうのか?
小中高校と学年が上がるほど自己肯定感が低くなる。そこに要因があると考えられます。
自己肯定感を高くするために最も必要なことは「共感」です。自己の存在を他者から認められているという実感が不可欠です。
しかし、入園、入学と同時に他者と比較され、少なくて非常に狭い「ものさし」で評価される。親たちもそのような学校環境の中で比較され序列化される教育を受けてきた。
子どもの存在そのままを認めるのではなく、「何ができるかできないか」で子どもを評価し、他の子どもと比較して「できないこと」をできるようになることを要求する。そこには子ども自身の願いや思いは存在せず、親の一方的な要求である場合が多い。
さらに親だけでなく、子どもにとってすべての世界である学校でも比較と序列化の中に置かれ、どこにも子どもの「居場所」がなくなる。唯一「生き残る方法」は親や教員の顔色を伺って「いい子」でいることだ。「いい子」でなければ認められない。自己表現する機会など与えられることなどない。自己表現する子は「悪い子」だから。そこには子ども自身は存在しない。だから当然自己を認めることなど不可能となる。
このようにして育った子どもが大人になり、その子どもを教育する。
これでは子どもが自己肯定感を低くするのは当然です。
子どもの自己肯定感を保つ唯一の方法は自己の存在そのままを認められていると感じること。そのために必要なことは子どもが自己主張してきたときに100%共感すること。そのためには子どもに自由な時間と空間を解放することです。
宿題とは自由な時間を学校と家庭から奪うもの。宿題から家庭と子どもを解放すればいいだけの簡単なことです。
そうすれば、学校の教員だって宿題の管理が減る。その分仕事が減ってラッキーではないですか?
夏休みなんだから。
さあ夏休み、子どもたち、宿題なんかせんでもええけ、自分の好きなことだけ思いっきり楽しもうぜ!
子どもの自己肯定感を下げる言葉
「宿題やったの?早くしなさい!」
「○○ちゃんとこは、毎日やってるってよ。」
子どもの自己肯定感を上げる言葉
「おかえり、ごはんできてるよ。今日もいっぱい遊んできたね。ニコ」
(あっ、ごはんは絶対条件ではありませんが、あった方が喜びます。笑)
鳥取県教委が「勉強がんばろうキャンペーン」というのをやっています。
なんでもかんでもみんな一斉にさせることが好きなんだなあ。
その反対に「夏休みは宿題なんかしないで思いっきり遊ぼうキャンペーン」をしたらいい。
そしたら、子どもはもっと生き生きと主体的になります。
そして、親はもっと楽になりますよ。
こちらに子どもに夏休みの宿題をやらせなくていい理由と夏休みに親がすべきことも書いています。
子どもは親の言うことはしませんが、親のやっていることをします。子どもは親の態度を敏感に感じています。親の背中を見ています。
「親が変わればこの子が変わる」というのはそういうことです。
「変わる」というよりも「本来の自分を取り戻す」といった方がいいです。
とりあえず子どもに対して「~しなさい!」と言うのを1週間やめてみたらいいです。ここで親の「言い訳」は無用です。
そうしたら子どもは自分で考えて動き始めます。
課題とはいえない夏休みの宿題なんかしなくてもいい、思いっきり遊べ!
10歳から「自尊感情」が急低下する
私たちが研究を進めるうちに、日本の子どものQOL(quality of life/生活の質)に大きく関係する因子が自尊感情ということがわかってきました。
小・中学生を対象にして、学校でQOLについての調査を行いました。学校に通う子どもたちを対象とした調査ですので、在籍する学年別に調査結果を公表しています。
その結果、小学3~4年生(10歳)頃から自尊感情が低下し、中学生の年齢にかけて低下し続けていることがわかりました。
図表:「日本とオランダを比較した自尊感情の年齢変化」(出典:『「いい親」をやめるとラクになる』より)
私たちはオランダの子どもと比較をしました。2007年のユニセフの子どもを対象とした幸福度調査で「孤独を感じる」と答えた子どもの割合が最少だったのがオランダだったためです。オランダの子どもでも10歳頃に自尊感情は低下する傾向はあるものの、それほど明確ではなく、思春期以降はあまり低くならないという結果でした。
ほかの国の調査結果をいくつか見ても、学年が上がるごとに自尊感情が低下するのは各国で共通ですが、これほど急激に低下している国はないようです。QOL全体は学年が上がるにつれてゆるやかに低下していく傾向にありますが、日本の場合、自尊感情が10歳頃から急速に低下していくのが目立ちました。