9月に鳥取らくだカンファレンスに来てくれた松谷くんが載っています。
彼は高校入試の4日前になって配慮が認められ合格しました。
そして今は高校生活を生き生きと楽しんでいます。
大学入試センター試験では、特別な配慮を申請する際に「状況報告書」の提出を求められる。
高校入試でも、中学でサポートを受けていれば、受験先の高校が同様の配慮を認める場合が多い。
しかし、受験時に配慮するかどうかの基準にすると、普段から学校の理解を得られていない生徒は入試でも配慮してもらえず、同じような障害がある生徒と比較しても不利になりかねない。
だからこそ、中学校での理解と普段の授業やテストなどでの配慮を求めています。
教育の窓
夢への一歩が開けた 入試で障害者への配慮
気づくこと、知ること、理解すること、いっしょに考えて行動すること
「書く」ことって「みんなと同じように書く」だけじゃないんですよね。
「できないこと」を「みんなと同じようにできるようにすること」じゃないんですよね。
「書く」ということの目的は記録だったり、自分の思いや考えを表現することなんだから、それができればいいわけなんです。
「じゃあ、どうすんのさ?」をいっしょに考えることが「合理的配慮」。
「合理的配慮」って難しい言葉を使うけど、「その人なりにできる」ための手立てをいっしょに考えること。
これって、「障害者だから」ってことじゃないんです。
その人の「困っている」「なんとかならないか」に対して「なんとかしよう」と知恵を働かせること。そして「その人のできるやり方」を認め実行すること。
だから、障害があるないは関係ない。
学校では「書く」ことが多いので、学校での理解と配慮が大事ですが、これって学校だけじゃない。暮らしのいろんな場面であることです。
私たちだって、「当たり前」や「常識」にとらわれていて気づかないこともたくさんあります。
みんなができると思われている中で自分だけ「困っているから助けて」ってなかなか言えません。
気づくこと、知ること、理解すること、そしていっしょに考えて行動すること。
これ、一番届いて欲しい人にみんなで届けましょう。
学校に合理的配慮をお願いするときに大事なこと
学校に合理的配慮をお願いしたい。でも・・・
「先生の理解がなくて・・・」
「何度も話してるんだけど、分かってくれなくて・・・」
「先生だったら勉強もしてるでしょ。」
「どうして学校はちゃんとやってくれないの?」
そう思っている親御さんも多いです。
その子のことを一番理解しているのはお母さんです。
でも、子どもの環境作りお母さん1人だけではできませんから、学校との関係作りは必要です。
子どもさんのことを理解して対応して欲しいですよね。
でも、ただ学校にお願いするだけでは、お願いされる先生方も何をしていいのか分かりません。
もしかしたら福井の中学校の先生方もその方法が分からなかったのかもしれません。その子にどう関わっていったらいいのか分からなかったのかもしれません。
勉強のこと宿題のこと学校生活の指導など、どうしたらいいのか分からなくて困っていたのかもしれません。
分からなかったら聞けばいいと思いますが、先生っていうのは「分かりません」「できません」「教えてください」がなかなか言えません。
聞けば逆に責められてしまうかも、とそんな思いの方が勝ってしまうのです。
だから、責任がとれない範囲では明確な答えが言えないのです。
「できません」といったら信用がなくなったり、立場が危うくなったりするなど、心配の方が先になってしまうんです。
だからといって、福井の中学校の先生を弁護するつもりはありません。
この人たちがやったことは絶対に許せません!
学校へお願いごとをするときは、「だからこうするとできます」「この子はこういうやり方だと取り組めます」と、具体的な接し方や学習方法、学習道具を教えてあげるといいです。
学校でパニックになったとき、先生が見てなんだかおかしいな?と感じる行動をしたときなどは「このようになったときは、この子はこういう思いでいるんです。」「このときは、こうしてください。」と伝えることも必要です。
「学校の先生はなかなかわかってくれない。要望を聞いてくれない。」というのではなく、具体的な提案をいっしょに伝えることでいっしょに考えてもらえると思います。
困ったときは「助けてください」といえる関係作りを
「学校の先生だから理解がある、対応の仕方を知っている」というわけではないんです。
実際には「子どもの対応をちゃんとしてください。」「支援をお願いします。」だけでは先生にも分からないことも多いんです。
「ちゃんとしてってどういうことなの?」「支援って何をしたらいいの?」って思っている先生も多いです。
でも、先生というのはなかなか「どうしたらいいですか?」って聞けないんですね。
私が教員してたときも「できません」とか「分かりません」ってなかなかいえなかったですから。
そして学校の中にいると気づかないことって結構あるので、保護者の方から「だから、こうしたらいい」「こんな方法もある」って先生にも教えてあげたらいいんです。
そしたら、「なるほどそういうことなんですね。」「そんな方法があるんですね。」「じゃあ、やってみますね。」となると思います。
その子の良さを伸ばしていこうと思っているのは先生も同じです。
いろいろな事件を見聞きすると「なんでこんな人が先生なんかやっているんだ!」と腹が立ってしょうがないですが、子どものことを悪く見たり悪くしようとして先生になった人はいないと信じています。
分からなかったら「分からないので教えてください。」
困ったときは「助けてください。」
親も教員もお互いにそういえる関係を作っていきましょう。
みんなの幸福のために。
合理的配慮を要請するときに誰にどこにどのように伝えていったらいいの?
子どもの学びやすさを目標にして、子どもの力を表現できる方法と学校で必要な配慮を学校といっしょに考えていきましょう。
それは本人のためでもあり、学校のためでもあります。
入試の直前になってからではなかなか認められませんので、日ごろの中学校での取り組み方を変えていく必要があります。
「前例がないから」「一人だけ特別扱いはできない」というのが常套文句ですから、それを変えるにはそうとうなエネルギーが必要になりますが、前例は自分たちで作っていくしかないです。
そのためにも多くの人と連携して情報を共有していくことが必要です。
基礎学力は身につけておく必要がありますが、主体的な学びは課題作りから始まります。
義務教育期間はもちろん、高校までの9年間で、子ども自身が学びたいという課題の作り方を一度も学びません。
大学ですら、科目はは自分で選べるというものの一方的な与えられたカリキュラムをこなすだけですからね。
子どもの学びたいことが実現するようがんばりましょう!
合理的配慮は特別扱いではなく「ちょっとした工夫」でできる