今日は鳥取市で行われた「困難を抱える若者に寄り添うフォーラム」に参加してきました。
福島学院大学 副学長・児童・思春期精神科医の星野仁彦さんの講演、というより勉強会でした。
テーマは「気づいて!心のSOS ~発達障がいとひきこもりを中心に~」
ときおり星野劇場という、身振りや行動の様子や喋り方などを実演しながらの話はとても分かりやすかったです。
発達障害は医療では治らない
実は私も「発達障害は医療で治る」という話だと思って、実際の話はどうか聞きたくてこの会に参加しました。
平田さんも私も「発達障害は医療では治らない」という立場ですよね。
そして、「投薬は害があるという」考え方も平田さんと同じですから、投薬治療には反対です。
投薬による薬害の危険性の方が高いですから、私も、できれば薬は使用しないほうがいいと考えています。
これは、平田さんと私の考え方ではなく、今の医学界の常識で医科学的にも間違いありません。
害のある薬を処方して金儲けを目的とした医師(これは「医師」とは呼べませんが)もたくさんいることも知っています。
医者に行かなくても治るのに病院が病気を作っている、製薬会社が儲けるために薬を生産し、薬が症状を悪化させていることも事実です。
私は星野さんの「説」について少し解釈の相違があるように思います。
また、各方面からの星野さんに対する批判も少なくないようです。
あなたは、直接星野さんの話を聞かれたことはありますか?
薬の服用によって辛い症状の緩和はできる
星野さんの「説」は「発達障害の根本治療はできない、しかし薬の服用によって、辛い症状の緩和はできる」ということだと思います。
これは医学の常識や確立された医療というわけではなく、星野さんの症例研究を通じた「ひとつの説」にすぎません。
星野さんの書籍を読むと、「それが絶対的」という表現になっているために、ダイレクトに解釈すると「発達障害は薬で治る。私(星野)はそうやって多くの(発達障害)の患者を治療してきた。」と受け止めてしまいます。
実際、今日の話でもそのように受け止める方もあったと思います。
「薬にはこんな効果があるんだ。うちの子どもも星野さんに看てもらい薬を飲ませたい。」と思った親御さんもあったと思います。
星野さんの「説」は、「すぐにでも障害を克服して不安感をとり除き楽になりたい」という人によってはすぐにでも飛びつきたい魅力があるのも当然だと思います。
しかし、服用の効果を言うだけでなく、副作用(これも薬の「作用」であって「副作用」という「裏」の効果・効能のような表現の仕方は間違いですが。)について、薬害についても責任ある説明が必要です。
星野さんは、それをしないまま効果・効能を強調しているためにそのように受け止める人が多くなっているのではないかと、私は考えています。
「投薬は、『発達障害からくる二次的症状の緩和』には、一部有効な場合がある」というのが正しい理解だと、私は思っています。
薬は百害あって一利なし
我慢して、無理やり教室で授業を受けさせるために薬を飲ませるんですか?にも書きましたが、投薬治療だけで発達障害は治りません。
これが今の医療の常識です。
私も「薬は百害あって一利なし」と思います。
私も前から言っていますが、投薬治療以上に周囲の理解による対応の仕方や環境の改善の方がはるかにいい方法です。
投薬ではできないことも、周りが変わることによって改善していきます。
星野さんの「説」も「医者の役目は症状に合った処方箋を書くこと」に基づくものです。
なので、今回も医療という一面だけの話でしたが、星野さんは投薬ですべて解決するといいたいのではないと、私は感じました。
実は、昨日の会でもこの点をもっと深めるといいと思いました。
時間足らずだったのが残念でした、
「発達障害は薬で治る。私(星野)はそうやって多くの(発達障害)の患者を治療してきた。」
この星野さんの「説」を間違って受け止めると、大変なことになる危険性がある、ということの確認も必要だと思います。
今の医療では発達障害は治すことはできません。発達障害の原因についても、現段階で「そうらしい」ということであって絶対的に確立されていることでもありあせん。(私の勉強不足の点もありますので、その点も含めて読んでください。)
もちろん、発達障害を投薬によって治療することもできません。
大人になったら治るものでもありません。
発達障害は薬で治すことはできません。
子どもの精神疾患の投薬については危険がはらんでいる
仮に薬で治すことができるとしても、一症状の緩和です。発達障害そのものを根本治療することはできません。
「一症状の緩和には、一部効果が認められている場合もある。」
「しかし、服用に当たっては信頼できる医師と十分に相談して、親も子の納得の上で処方してもらうこと」
これは誤解のないようにしてください。
投薬治療は一症状の緩和根本治療ではなく、一症状の緩和が期待できるだけであり、それには「副作用」もあり危険性も含んでいるということを知っておかなければなりません。
安易に「薬を飲めば治る」ということで服用することは危険の方が大きい、と私は考えています。
これは今回のケースだけでなく、医療全体に言えることですが、特に子どもの精神疾患の投薬については危険がはらんでいることをしっかり勉強すべきです。
本当に信頼できる医師と出会い、納得がいってから投薬をしていかなければいけません。
「薬は危険性がある!」という認識をしたうえで、ということが重要です。
私の伝えたかったこともそこです。
星野さんの話はいろいろな「説」がある中のひとつであるという受け止め方が必要です。
また、私は医師でも薬の専門家でもありません。
ここでこれまでに書いていることも、医師を含めていろいろな人と話をしたり勉強会に参加してきた中での「私の考え方」です。
この点も誤解のないようにお願いします。
大切なことは、発達障害の治療ではなく二次症状の予防なのです。
そのためにも発達障害の特性を理解し、個々に合った具体的な対応方法を様々な人たちといっしょに考えていくことが大事です。
「発達障害」に関する私の考え方はこちらでまとめています。
(星野さんの参考資料)
発達障害に気づかない大人たちへのプライマリー・ケア(初期対応)
成績優秀なのに仕事ができない“大人の発達障害”急増の真実
成績優秀なのに仕事ができない“大人の発達障害”に向く仕事、向かない仕事
どこまでが発達障害でどこからが違うかの線引きには、医療機関によっても差がある。
発達障害の周辺には多くのビジネスが今も動いている。
急拡大する「発達障害ビジネス」その功と罪