「大人が責任を果たすためにできること」
福島の事故から2年半が経ち、未だ収束の目処すら立たず汚染水処理問題の拡大が報じられている中、原発再稼働と原発輸出への動きが本格化している。安倍政権は原発輸出を強化する方針で、国内原発メーカーは「国の後押しはありがたい」と受注拡大に期待している。
福島から避難先で暮らしている子どもたちからの大人へのメッセージがある。
「大人が勝手に作った原発でなぜ福島の子どもたちが被爆しなくてはならないのか、こんなつらい目にあわなくてはいけないのか、これほどの事故が起きたとしてもどうしてまだ原発再開を目指すのか、私には全くわかりません。総理大臣が替わっても良い国が作れるとは思いません。福島を徹底的にきれいにする計画を立てて実行してください。」
しかし、このような思いで暮らしている子どもたちの声を無視するかのように、大手電力会社、自民党政権、関連企業の多くはマスコミを通じて原発の停止によるデメリットばかりを強調し、原発推進に動いている。
福島第一原発事故後、ドイツ政府はいち早く2011年7月には22年までの全原発廃止を法制化した。原発廃止に向けてのプロセスには様々な課題もあるが、さすが世界の工業技術トップのドイツの英断だと言えよう。
では、原発の停止によるデメリットをどう考え、対応すべきなのか。
一つ目は電力不足問題だが、全く問題はない。
日本の電力全体の30%は原発で作られているというデータがあるが、これは火力・水力の利用率がそれぞれ50%、19%しか稼働していないことから出されている数値である。火力・水力の利用率を8割程度まで上げれば原発を0にしても日本の電力は十分足りているのだ。ことさら「節電」に努めなくてもいいだけの電力量は保てるのである。
二つ目は発電コストについて、実際には火力・水力発電の方が圧倒的に安く、原発の発電コストが一番高い。そして現在行われている事故処理費用を加えると膨大な費用が使われる計算になる。発電所の建設から廃炉までのコストまで含めるとさらに高くなる。
そして、その負担は国費、つまり国民の税金で賄われているというのも大きな問題である。原発事故の加害者である国と東電の事故処理費用には、原発の一次被害者である被災地の方を含めた国民の「血税」が勝手に使われているのである。
三つ目は化石エネルギー資源の確保について、「天然資源には限りがありそれを解決するには原子力しかない」という説もまた間違いだ。
確かに石油、石炭、天然ガスの埋蔵量には限りがあるが原子力燃料であるウランにも限りがあり未来永劫に渡って使い続けられるわけではない。しかも、原発が増えればそれだけは消費されていくのである。
「大人は命よりお金が大事なのですか?私たちの家族、友だち、だれひとり傷つけないでください。大人は責任をとってください。こんなことになるなら原発はないほうがよかった。」
このような福島の子どもたちの声に応えるには、大人が責任を果たすためにできること、それは、まず第一に原発の再稼働を直ちにストップし全原発廃止に向かって行動すること以外にはない。
大人が勝手に作った原発で子どもたちを被爆させてはならない
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執筆者:azbooks