熊本市では、市の方針でiPadを大量導入する。2020年の4月から、なんと市内の全公立小中学校134校で、2万3460台のiPadの運用をスタートするという。
驚くべきはこれらの学校が予算が豊富な私立ではなく、公立の小中学校だということだ。
決して安くはない費用、熊本市のすべての小中学校に2万3460台のiPadを配備する、トータルで30億円にもののぼる支出を、ドンと決めたのが大西一史市長と、遠藤洋路教育長だ。
こうすれば、保護者が個人のタブレット持ち込みについていちいち学校と交渉しなくて済みます。
小中学生1人1台政策が提示される中、熊本市iPadを2万3460台導入! その劇的成果とは
政府は全国の小中学校のすべての児童・生徒が「1人1台」の状況でパソコン(PC)やタブレット型端末を使える環境を令和5(2023)年度までに整備するための政策を経済対策に盛り込んだ。学習へのICT(情報通信技術)の活用が世界に比べて遅れていることの改善や、地域間格差の是正を狙う。
【経済対策】PCを「1人に1台」 学校のICT化を加速
小中学校で「1人1台」パソコン配備 26兆円の新・経済対策の“目玉”で教育現場はどう変わる?
児童生徒に1人1台の学習者用端末と、クラス全員が一度にアクセスしても利用できる通信環境を整備するものです。「2020年1人1台」を目指して進めてきた地方交付税での予算措置などが目に見える効果を上げてこないことを受け、ICT教育後進国脱却のため、総理の鶴の一声で実施される緊急措置です。1人1台では、1台4万5000円限度に補助を実施し、2022年度までにすべての小中学校で3クラスに1クラス分の学習者用端末を整備します。
GIGAスクール構想とは(1) 1人1台学習者用端末の標準仕様をチェックする
子供の学力に応じて、それぞれのPCに難易度の異なる問題を出せば、個別に最適化された学習ができると、文科省は説明する。仮にそんな授業を行うのなら、教員にかなりの指導力が要る。
PCを授業で使いこなせる教員は7割にとどまるとの調査結果がある。文科省は、教員の役割や指導力の向上策を検討するとしているが、何とも心もとない。
2年半前、独自にPCを全ての児童生徒に配備した東京都渋谷区では、端末操作などを教える支援員を学校に派遣している。こうしたサポート態勢を全ての自治体が整えられるかは疑問が残る。
そもそも、PCの活用が、従来の学校教育を大きく変える可能性があることに注意が必要だ。
子供がPCに向き合う時間が増えるほど、先生との対話や、授業のポイントをノートに自分の手で書く時間は減る恐れがある。