羽合小学校で6年生の女児がプールに飛び込み頸髄損傷した事故で、調査委員会の方針決定について新聞の報道がありました。
「事故が起きた原因が教員の指導にあったと結論づけることを決めた。」
「初歩的な指導の問題という視点が確定した。」
「プールの水深が約90センチだった点については『問題ではない』と述べ、今回の事故とは因果関係がなかったとの認識を示した。」
新聞報道でしか知ることができませんが、今回の件は教員の初歩的な指導に問題があっただけでなく、水深が約90センチのプールであったことも問題です。
さらに、指導をしていた教員個人の責任だけで済ませるのではなく、体育の時間での水泳の飛び込みは禁じられているにも関わらず「なぜ、浅いプールで飛び込み指導が行われなければならないのか」「なぜ、これまで長く不適切な指導が続けられていたのか?」という背景まで突っ込んだ検証が必要です。
さらに、学校のプール環境はそのままで「例外」として放課後の飛び込み指導を認めるという県教委の姿勢も問うべきです。
もし自分なら、こんなに浅いプールには怖くて飛び込めません。そのような浅いプールでの飛び込み指導も怖くてできません。
鳥取県内の小学校では今週にはプール開きが行われ、放課後の水泳指導も始まります。
このような状況の中で子どもたちを危険な目に合わせると思うと心配でなりません。
「プール事故」はひとつのきっかけに過ぎません。
学校で解決していかなければいけない課題はまだまだあります。
その観点は「子ども主体であるかどうか」です。
しかし、現実は「大人の事情」でいろいろなことが進められていますので、それを継続的に注視し、待ったをかけたり、直接代案を提案していったりする必要があります。
「日本式の教育」によって形付けられた社会全体の問題だといえます。
鳥取県では水泳大会に向けて、99%の小学校で放課後に飛び込み指導を行っています。
水泳大会のルールに飛び込みがあるために、練習させています。
それが今回の事故をきっかけに広く知られることになったのですが、県内の小学校では飛び込み指導は当たり前のように行われています。
そして、今年も放課後の飛び込み指導について、県教委は、「条件付きの例外」として認めました。
その条件というのは、指導に当たる教員が研修を受けることで、そのまま深さ90cmのプール環境で行われます。
子どもがケガをしたり命の危険にさらされたりしても、ほとんど改善がされないことが問題なのです。
鳥取県内で水泳の飛び込み指導を行っていない小学校は全129校中1校だけあります。
128校は、早朝や放課後に水泳大会のためにプールの上からの飛び込み指導を行っています。
その理由はリンク先をご覧ください。
学校という組織には「NO!」といったらいけない空気があります。
なので、生命の危険があると感じている教員もいますが、全体の中では埋もれてしまっているのです。
さらに、例外的に飛び込み指導を県教委が認めたことによって、指導しないわけにはいかなくなっています。
指導法の改善はもちろん、安全なプール環境作りも行っていく必要があります。
学習指導要領にないことまで指導を強制させられる現場の教員は大変です。
運動会が終わってほっとする間もなく、これからは夏の終わりまで、毎日のように暗くなるまで水泳指導が始まります。
水泳大会でいい成績を残すために競争しています。
それが終わってから、行事の計画書や報告書を作成したり、明日の授業の準備を夜遅くまで学校に残ってやっています。
中学校も部活で大変ですが、小学校の担任も前日までに1日6時間分の授業の準備をしてから朝を迎えています。
教員の負担をこれ以上増やすことは自殺行為だといえます。
事件は現場で起きているんです。
現場を知らない者が何をいっても説得力はありません。
湯梨浜の水泳事故原因は教員の指導 調査委が方針決定(鳥取)
(2017.5.27 毎日新聞より)
禁じられている体育の時間での水泳の飛び込み指導がなぜ行われているのか?
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執筆者:azbooks