教育

不登校は問題行動ではない 「義務教育」は「子どもが学校へ行く義務」ではない

投稿日:2016年10月19日 更新日:

「不登校問題」とは「不登校は問題である」という考え方そのものにあります。
なので、「不登校は問題行動ではない」という認識が広がることが「不登校問題」の解決です。
既存の学校の「枠」ではすべての子どもに対応できなくなっていることは何年も前から言われていたのです。
学校以外の学びの場が認知されることによってすべての子どもが「自分らしさ」を発揮して生き生きと学ぶことができるようになります。
それは子どもだけでなく、学校の教員にとっても学校以外の人にとっても「自分らしく」居られることにもなるのです。

「義務教育」というのは、「子どもが学校へ行く義務」ではない

「義務教育」の「義務」について間違った考え方をしている人は多いです。「小・中学校は”義務教育”なんだから、義務である以上、学校は通わなくてはいけない」という解釈です。
しかし、この解釈が違うんです。
「義務教育」というのは、「子どもが学校へ行く義務」ではないんです。 実は、「義務教育」の義務は、大人の義務なんです。
「普通教育」を受けることは子どもにとっての「権利」であって、「義務」ではありません。子どもが健やかに学び育つように、「普通教育」を受ける権利を保障する義務は大人にあります。
つまり、行政は、学ぶ権利を保障するための学校を設置する義務があり、親は学校に行くよう、手続きなどを整える「就学の義務」があります。子どもには「普通教育」を受けることができる「権利」があり、大人には「普通教育」を受ける権利を保障する「義務」があるということです。
そして、これもよくある間違いですが、「普通教育」を受けることのできる場は「学校」とは限りません。
つまり、子も、親も「義務教育」に違反はしていないのです。違反しているのは、「普通教育」を受ける権利を保障できていない学校行政の方であって、すべての子どもが「普通教育」を受けることのできる環境を作っていく責任があるのです。
親は学校へ行けるように手続きもし、条件も整えているので、親の義務違反にはならない。
しかし、今の学校では、すべての子が学ぶ権利を保障するための学校にはなっていないのです。
不登校の児童生徒に対して行政の対応として多く行われている、子どもを学校へ矯正して来させるための「適応指導」ではだめで、子どもが学びやすい学校にしていく必要も、学校では学びにくい子どもに学ぶ権利を保証する場を作っていく必要もありまです。
つまり、今の状況では、行政の方が「子どもが学ぶ権利を保障するための学校を設置する」義務に違反しているといえるのです。
なので、「学校が合わない」のであれば、堂々と学校を休んでいいんです。だから無理していく必要もないんです。
学校へ行かないからといって罰せられることはありません。(罰があるという間違った考え方をしている人までいますが、本当に無理解な人です。)「不登校」は悪いことでもなく、間違ったこともしていないのです。間違ったことをしているというか、子どものニーズに応じた「普通教育」を受ける権利の保障が十分にできていないのは、教育行政の方なのです。

私は不登校のYoutuberゆたぼん君に賛同します応援します

不登校のYoutuberゆたぼん君がテレビで取り上げられて話題になっていますが、多くの人のコメントでひとつだけ間違った認識があります。
国の法律には「子どもは学校に行く義務がある」「保護者は子どもを学校に行かせる義務がある」なんて事項はどこにもありません。
「コメンテーター」という人の発言は「学校ありき」「子どもは学校に行くのが当然」であり「不登校の子どもは逃げている」などという間違った意識の人もあります。
・学校は行ってもいいし、行かなくてもいい。
・学校に行くか行かないかは子ども本人が決めたらいい。
・学校以外の場で学ぶこともOK。
今10才のゆたぼん君が今後どうしていくかも彼自身が決めることです。
「子どもは学校に行かないと将来がない」なんてまったく間違った考えです。
こういった大手メディアの発信は間違っています。
ゆたぼん君が学校に行かないのは本人の意志だしYouTubeやインタビューも自分が決めてやっています。親からのアドバイスはありますが、学校に行かせないで強制労働をさせられているのではありません。
また、このようなケースで子どもがお金を稼ぐことと親の義務違反とは関係ないです。ただ、法律的には子どもが金銭的な報酬を得ることはできないので、起業した場合のビジネスの代表事業主は大人(保護者)になります。(と思います。)
それについてゆたぼん君の家族はどうしているのか分かりませんが、起業して稼いでいる子は他にもいます。
彼は学校では学べない社会とのつながりや人間関係を創っている素晴らしい少年だと思います。

教育基本法第4条 (義務教育)
国民は、その保護する子女に、九年の「普通教育」を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

「子どもは学校に行く義務がある」のではなく、「すべての子どもが普通教育を受ける権利があり、保護者には普通教育を受けさせる義務がある」のです。
さらに「普通教育」の場は学校だけではありません。子どもには学校以外の普通教育を選ぶ権利があるのです。そして、国や自治体には「普通教育の場」を作る必要かあります。
ゆたぼん君は「今」行きたいときには学校へ行き、「今」やりたいことをして自分で学び方を決めているだけです。
すべての子どもには自由に学ぶ権利があるのです。
学校に行くことが義務教育ではありません。
「不登校問題」とはなにか?
「不登校の解決」とはどういう姿なのか?
こちらに詳しく書いています。

憲法にも教育基本法にも「学校へ行く義務」は書いてない

憲法にも教育基本法にも、明確にこう明記してあります。

●憲法第26条第2項
すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に「普通教育」を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。
●教育基本法
第4条 (義務教育) 国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
2 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

「子どもは学校に行く義務がある」なんて事項はどこにもありません。
「九年の普通教育」については学校教育法で定められています。これって、教員採用試験で絶対に出題される内容です。

「条件付き入学」って法律に違反しているのでは?

障害を理由に「うちでは無理」と入学を拒否されるケースが多いのも法律に違反していると言えます。
確かに条件付き入学というのが現状ではありますね。
これって憲法違反なのですが、責任の所在が明確ではないのでうやむやになっていることが大きな課題のひとつです。
「普通教育」といってもまだまだすべての子を受け入れる体制は整っていません。
そして、行政は自ら気づいて動くということはないので、「合理的配慮」の要請など当事者や保護者が直接訴えていくことも必要です。
また、困っているのは子どもや保護者だけでなく学校の教員もそうなんですね。現場で具体的にどのように対応したらいいのか分からない教員も多いです。
なので、学校と対立するのではなく、保護者が具体的な方法を提案することも必要ですし、関係者が対話を重ねてできることを少しずつ進めていくしかありません。
これからも子どもたちの未来のために活動を続けていきますので、情報交換していきましょう。
文科省 不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)

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