日々の暮らしが当局に支配されていることに気づくことがスタート。
気づいた人たちが声を上げ、行動し、つながることで社会は変えられる。
最も怖いのが、「慣らされてしなうことが当たり前」になってしまうこと。
今こそ、「自己責任」という「孤独の拡大」、「任意」という名の「強制」、「同調圧力」という暴力によって「新しい生活習慣」が「当たり前」になろうとしている怖さに気づき、「NO!」の声を上げる必要があります。
ひとりが声を上げ行動すれば、社会は変えられる。
「考えることをやめてしまう、つまり思考を停止してしまうのが一番怖いですね。とにかく自分の頭で考え続けること。考えたら声に出してみる。動いてみる。誰かに話してみる。そのことが、社会を変える力になる」
「考えるきっかけは、ごく個人的なことでいいんです。なんでこんなに生きにくいのだろうとか、なんで希望している通りにいかないんだろうとか。例えばふだんの買い物で食品を選ぶことだって、社会のしくみを考えるきっかけになる。そうして考えていくうちに、報道を通して伝えられてくるような国際情勢についても、原発や基地や憲法の問題も、全て自分につながっているということを理解できるようになるのだと思います。」
「ごく普通の」国家が、日々の生活に知らぬ間に忍び込み、人々の行動や考え方をだんだんと支配するようになる――。フランスの寓話『茶色の朝』に描かれたこの世界について、「私たちと無縁ではありません」と語るのは、本書の日本語版にメッセージを寄せた哲学者・高橋哲哉さん(東京大学大学院教授)だ。共謀罪の成立や憲法改正に向けた議論が進む中、「思考停止になっていると、日本も“真っ茶色”になりかねませんよ」と警告する。
今、日本で起きていることは全て、多数の有権者が支持する内閣の下で行われていることです。結果は自分たちに跳ね返ってくる。逆にいえば、今が社会を変えるチャンスかもしれません。問題が大きくなるほど関心を持つ人も増える。より多くの人が考えて、参加することが、社会を変える力になります。原発も米軍基地も実は自分たちの問題であるということをどこまで考え続けられるか。それを私たちは問われているのだと思います。
「“茶色の朝”を迎えたくなければ、思考停止をやめることです」哲学者・高橋哲哉さん